承德の避暑山荘
Cまあ、暑いですこと。
Bそう。避暑山荘と聞いて、涼しいところだと思い込んでやってきたもんだからなあ。
A真夏でございますから、いくら涼しいところといっても、真昼は幾分暑さがございましょう。
Bなるほど。
A実は、避暑山荘と名付けられたのにはこちらの真夏の涼しさのほかに、もっと大事な理由がございます。
Bその大事な理由はいったい何でしょう。
A清の皇帝がチベットやモンゴル、新疆など、中原の西北にある民族との結び付きを強めるため、
ここで宮殿を造りましたが、っ強権政治寄り、親善のほうがいいと考えたためか、
官庁っぽい名を付けないで、夏の離宮というった意味の「避暑山荘」と名付けた訳でございます。
Cそうだったの。昔の人も民族の団結のありがたさをよく知っていたようですね。
Aこの離宮の建築様式や風格においても、故宮と違って、彫刻のない青レンガや灰色の瓦ででき低て、
あっさりしたものでございます。
Cあっさりしていていいわね。それに、山あり、水ありで、あずまやや橋などが点点と散らばって、
人工で作られたものでありながら、自然の味がたっぷりですね。
Bあのう、離宮の周りには、趣の違ったお寺があると聞いていますが。
Aそのとおりでございます。通常「外八廟」とよんでいますが、チベット風のお寺や、
新疆ウイグル族風のお寺、それから漢とチベットとの風格のまじりあったおてらなど、
あわせて八つございました。でも、今は七つしか残っておりません。
Cあ、チベット風のお寺といえば、あの「小ポタラ宮殿」もその一つなんでしょうね。
ガイドブックの写真でしか見たことないけど、とても印象深かったわ。
Aお寺のほかに、自然の名所もたくさんございますね。たとえば、棒槌山、蛤蟆山,僧帽山,鸡冠山など、
いずれも岩や山のでございます。
B棒槌山については、何かいわれもあるようですね。聞くところによれば、その山に登って,棒槌という変わった、
太い棒みたいな岩に一回触ると、300歳、もう一回触ると、今度は600歳にも慣れるとか、言わば長寿岩ですね。
Cほんとう。そんなこともあるんですか。本当だったら私も触ってみたいですねわ。
Bでも、あれは高い山ですよ。
C大丈夫ですよ。がんばりますから。
Aご心配はいりません。山のふもとから頂上まで、ロープウーがございますから。
Cよかった。安心しましたわ。