桂林の山水 天下に甲り
A昔から桂林のことについて、「碧の水に青い山、珍しい洞に美しい石」と言われてまいりました。
Cやはり古人が曰く「百聞は一見に如かず」、この目で見てから出ないと、、、
B信じられないというんですね。
Aそれはそうでございます。今日は、桂林をご案内いたしますので、ゆっくりご自分の目でお確かめください。
Cあら、かぐわしい香りですね。
Aそれは金木犀の香りでございます。中国語では、木犀を桂といいます。そんなわけで、桂林とは、木犀が林立しっている町、すなわち桂林でございます。
Cなるほど。ところで、今日は、どことどこを案内してくださいますの。
A時間の関係で、今日は藘笛岩を中心に、あしたは漓江下りで、それから、そのまま陽朔にまいることにしておりますが、いかがでしょうか。
Bはい、けっこうです。
A蘆笛岩が桂林の北西7キロ離れたところにございますので、観光バスで参ります。
Cさあ、乗りましょう。
Aはい、蘆笛岩に着きました。
Cあちらの流れは漓江でしょうか。
Aいいえ、あれは桃花江、つまり桃の花と言う名前の川でございます。
Cきれいな川ですね。その名にふさわしい。
A蘆笛岩の鐘乳洞をご案内しますから、こちらへどうぞ。
B桂林は三億年までは湖のそこにあったと聞きましたが。
Aはい。そのために、桂林辺りは地下水がとても豊富なのでございます。それに、ほとんどが、石灰岩地層でございますので、長い年月水に浸食されて地下洞がたくさんできてきたのでございます。
Cだから、桂林のどの山にも鐘乳洞があると言ってもけっして過言ではないんですね。
Aそうなのでございます。そして、そのうちでトップとみちめられたのがこの蘆笛岩で、その次が七星岩でございます。
B天井から鐘乳石が垂れ、床には石笋が立ち、、麗しい地下水が石笋の間を縫って流れていく、、、まさに幻の世界ですね。
Cあら、石柱もありましたわ。
Aこれをご覧ください。何だ思われますか。
Bえーと、カボチャみたいですね。
Aはい、まったくそのとおりでございます。これは石のカボチャといいますが、ほかに、あの屏風みたいな石は、石屏風とか、石幕とか言うのでございます。
Cすばらしい腕で作り上げられたもののようにも見えますね。自然の力は偉いものですね。
A自然の奇跡と言えるものはいっぱいございます。例えば、江西省の蓮花県の北西にある竜首山と言うところに巨大な天然灰岩の鐘乳洞が発見されました。洞内の景観が珍しく、大小の洞穴が交錯していて、特に変わっているのが潮汐洞と言う洞穴で、昼の11時と夜中の2時に規則正しく満水と退水とをくりかえします。
Cえっ、ほんとうですか。
Aはい。満水は25分間続きますが、水が満ちてくると、洞穴の中で、冷たい風がうなり始め、「ゴーゴー」と言う音が小から大に変わり、まるで数え切れない太鼓をいっせいに叩くように
天地にとどろくのでございます。
Cほんとにめずらしいですね。
Bあれはサイホン現象ではないんですか。
Aはい、そうなのでございます。
Cやっぱり、中国は広いので、めずらしいものがいっぱいありますよね。
Aところで、これらの石には美しい話がいろいろございますので、漓江下りの船の中で、ゆっくりお話しましょう。
A遊覧船で8時間漓江を悠々と下って参りますので、両岸の景色を楽しみにしてください。
Cあの山が象鼻山でしょう。ちょうど象が鼻を水の中に入れている形ですね。
Bうん、確かに。頂上には塔もあるようですね。
Cあら、すてきだわ。まるで岩石の林のようでうね。
Bいや、無数の槍が天に向かって突っ立ているようですなあ。
Aあれは奇峰で有名な奇峰鎮という小さな町でございます。桂林は典型的なカルスト地形ですから、奇峰奇岩が非常に多いわけでございます。例えば、王冠の形をした冠岩(冠の岩)、新月の形をしている洞穴のある月芽山などがそれでございます。
Cそうですね。らくだみたいな駱駝山もありますね。
Bえーと、今見たばかりのあの針ねずみみたいな堤はなに堤でしたっけ?
Cああ、あの柳の木の多い堤のことですね。あれは楊堤ですよ。
Bああ、そうでしたね。
Aところで、この漓江は広州に注ぐ珠江の支流の一つでございます。
C漓江のお水がきれいですね。浅瀬に来ると、底の栗石もはっきり見えますわ。
Bうん、あみを打つ老人や、みさごで魚をとる漁師や水牛の背に乗っている農家の子供たちが現れては消え、消えては現れるのもなかなか格別な情緒がありますね。
Cそうですね。漓江下りで見られる景色は文字どおりの山水画ですね。
Aもうすぐ陽朔でございますが。
Cはいですね。知らず知らずのうちに、もう陽朔ですか。
A「陽朔の山水、桂林に甲たり」という言い方がございますので、どうぞ陽朔見物を楽しみにしてください。