2号機の最大放出 原因解明できず
7月14日 5時44分
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、もっとも多くの放射性物質を放出したとみられる2号機について、政府の事故調査検証委員会は、近く公表する最終報告で、「放出経路や詳しい原因は、現場の調査や時間の制約から特定できなかった」と結論づけることがわかりました。事故調査検証委員会は、国や東京電力に調査を継続するよう提言する方針です。
福島第一原発の2号機は、事故発生の4日後の去年3月15日に、今回の事故でもっとも多くの放射性物質を放出したとみられ、その原因を政府が設置した事故調査検証委員会が今月23日に公表する最終報告で、どう解明するか注目されています。
黄色い部分が放射性物質を閉じ込める役割の核の容器で、中には原子炉があります、紫色の部分です。東京電力は、「この核の容器が壊れたのは、圧力が急に下がった最大放出当日の15日の午前7時20分ごろ」とこれまでの解析で仮定しています。
これに対し、事故調査検証委員会は、最終報告で、「圧力が14日午後1時半ごろから午後6時ごろにかけて、徐々に下がっているため、最大放出の前日の昼すぎに、核の容器が壊れていた」とする新たな見解を示すことがわかりました。
事故調査検証委員会は、「東京電力との食い違いが1号機や3号機の解析でも見られることから、東京電力の分析は、実際の現象を反映していない可能性が高い」と指摘することにしています。しかし、放出経路や詳しい原因は、「現場の調査や時間の制約から、特定できなかった」と結論づけることにしています。そのうえで、国や東京電力に、壊れた場所を特定し、原因を究明するために、調査を継続するよう提言る方針です。
事故調査検証委員会の結論や提言は、事故から1年4か月が経っても、高い放射線量のために、現場の調査さえ十分にできない現実や原因の解明の難しさを改めて浮き彫りにしています。
東京大学大学院の岡本 孝司(こうじ)教授は、事故原因の解明について、次のように話しています。
「どのようにして、その放射性物質が放出されるに至ったか、これを知ることは、原子力安全、今後の原子力安全にとっても、非常に重要な意味を持ってまいりますし、この福島第一原子力発電所の廃止措置に向けての非常に重要な意味を持ってくると思います。」
そのうえで、岡本教授は、「2号機の情報が不十分なため、原因の推定は難しいとして、今後は、日本国内だけでなく世界中の人に来てもらい、調査を継続していくことが重要だ」と話しています。