第二章 日本の人口と気候
第四節 自然災害
日本は地盤が不安定であり、気候の変化が激しいため、世界の中でも自然災害が多い国である。その自然災害の種類がいくつもある。
火山の爆発:日本は火山の多い国であるので、火山の爆発も多く、時には災害となる。1888年には東北地方の盤梯山の爆発は山北の部落を埋めて、500人の命を奪い取ったことがある。1965年には浅間山が400回も爆発して、多くの被害者が出てきた。1977年には北海道の有珠山が爆発し、周囲の農作物に大きな被害を与え、2000年3月31日再び噴火した。また、1979年の阿蘇山の爆発では死者三人を出した。
津波:地震や海底火山の爆発は、時には津波を起こして、被害を与えることもある。とくに、三陸のリアス式海岸では、たびたび津波の害を受ける。
風水害:台風による風水害は日本にとってとくに大きな災害である。中でも近畿地方を襲った室戸台風(1934)、関東地方を襲ったカスリン台風(1947)、愛知県を襲った伊勢湾台風(1959)などは多くの人命を奪い、耕地、家屋や交通路に大きな被害を与えた。
地震:日本は地震が多く、地震国として有名である。地震が起こる原因には、火山の爆発によるものと、地殻の変動によるものとがあるが、日本列島が環太平洋火山帯にあるので、火山活動も活発で、地殻の変動も多く、地震も多いのである。
日本では、地震は毎日のように起こっているが、その大部分は人間の身体に感じないものである。大地震は一般に太平洋側に多く、1923年の関東大震災、1946年の南海地震、1952年の十勝沖地震などはその例である。中でも、関東大震災の被害は大きく、死者9万人、負傷者10万人、破壊焼失家屋は68万戸におよんだ。
1995年1月17日の早朝、強い地震が阪神地方で起こった。震源地は淡路島の北で、神戸市、西宮市、芦屋市、淡路島が特に大きな被害を受けた。これは活断層の動きによって起きた都市直下型の地震であり、マグニチュード7.2、震度7という今までにない大きな揺れの地震であった。この地震で、電気・水道・ガスなどのライフラインもほとんど壊れ、高速道路や新幹線も使えなくなった。建物が地震で壊れただけでなく、その後で火事も発生したが、水道が壊れたり、道路が壊れたりして消火ができず、救助が遅れ、被害が広がった。この地震で死者は6,300人にもなった。
このように大きな地震では、災害地の役所や病院も被害を受け、そこで働く人も被害者であったり、情報システムも壊れたりして混乱し、政府に情報が届くのも遅れて、対応が遅くなってしまった。しかし、被害者は水や食糧を分け合って、落ち着いて行動し、大きな犯罪は起きなかった。
自然災害に対して、日本人は長い間に色々な努力を重ね、その被害を最小限に食い止めようとしてきた。防潮堤や防風林を造ったり、河道の改修や分流工事、ダム建設、稲の品種改良を行ったりするなど、様々な対策を立ててきた。さらに最近では、天気予報や洪水予報、地震や火山爆発の予知についても科学的な研究が進められ、災害の防止に大きく役立つようになった。また地震に対して強い建築材料や建築技術も開発されるようになったので、耐震性の強い高層建築も可能になった。
政府は毎年の9月1日を国の防災日を決め、この日には、全工区の公的機関によって防災訓練が行われる。