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日本地理:第六章 日本の各地方
日期:2013-12-08 22:26  点击:1452
第六章 日本の各地方 
 
第五節 近畿地方
近畿地方は、中国・四国地方と中部地方との間にあって、古くから日本の政治・文化の中心地で、奈良や京都などには都が置かれていた。関東に対して関西とも呼ばれる。近畿地方には大阪、京都の2府、兵庫、滋賀、奈良、三重、和歌山の5県がある。人口密度は関東地方に次いで高く、人口の大部分は大阪、京都、神戸を中心とする中央低地に集中している。
近畿地方は地形から見て、南部山地、中央低地、北西部の山地と、大きく三つに分けられる。また、櫛田川・紀ノ川を結ぶ線より南の外帯地域と、北の内帯地域とに分けられる。外帯地域は紀伊半島の地域である。内帯地域はさらに中央低地と北部山地の二つに分けられる。近畿地方は本州の中央を占めているため、江戸時代には、米や各地の特産物が大阪に集まり、早くから商業が発達した。明治以後は、大阪・神戸を中心に近代工業が発達した。
紀伊山地は、中央部に大峰山、その東部に大台ケ原山などの高い山々が連なる、幅の広い山地である。紀ノ川・熊の川などの川の上流は、深い峡谷になっている。南部の紀伊山地は幅が広く、その大部分が海岸近くまで広がっているため、平野は少なく、大きな平野は、和歌山平野だけである。紀伊半島の北東部は、海岸線が複雑に入り組み、リアス式海岸になっている。
中央低地は南の紀伊山地と北部山地との間の地域である。ここは、南北に走る山と東西に走る山とがあって、典型的な網目状の断層運動による地形を示している。山地の間には、大阪平野・京都盆地、琵琶湖のある近江盆地のほか、奈良盆地・上野盆地、さらに姫路平野・伊勢平野などがあって、一つの低地帯になっている。日本の最大の湖である琵琶湖から流れる淀川は、京都盆地と大阪平野を結び、発電・飲料水・工業用水・灌漑用水などに利用されている。
北部山地は、中国山地とその東に連なる丹後山地・丹波山地からなっている。山地の間に川が入り組んで流れ、豊岡・亀岡などの盆地が開けている。北部の海岸は、若狭湾に含まれる舞鶴湾・宮津湾の大きな入り江のほかは出入りが少ない。
近畿地方の気候は、地形の影響を受けて、地域によって違う。太平洋に面した紀伊半島南部は、南四国と同じ太平洋側式気候で、夏の雨量が多く、暖帯林が生い茂っている。中央部の低地は、大阪湾沿岸は瀬戸内式気候であるが、京都盆地や奈良盆地などは内陸性の気候である。北部山地は、日本海側式気候であり、冬の降水量が多いので、快晴の日は非常に少ないのである。
近畿地方の人口は日本全国の約18%にあたる。大阪・神戸・京都を中心とする地域には、近畿地方の人口の半分以上が集まっている。それに対して、三重・滋賀・奈良・和歌山の4県は人口が比較的少ない。大阪府は日本の都道府県の中で面積は最小であるが、人口は東京都に次いで第二位である。
京阪神は日本の経済・文化・交通の2大中心の一つである。近畿地方は、日本の文化の源であって、歴史に関係の深いところがたくさんあり、都市や村にも古い文化の名残が見られる。この地方では伝統の手工業や家内工業が盛んで、その代表的なものは京都の西陣織をはじめ、清水焼や漆器や友禅染などである。
阪神工業地帯とは大阪市を中心として、西は播磨工業地域へ続き、南は和歌山県の海南・下津、北東は大阪市東部から京都を経て、琵琶湖の南岸に至る広い範囲にわたっている。この工業地帯は資本、港、水運、労働力、工業用水などに恵まれていたこと、原料や製品の輸送に便利であったこと、大消費地に近いことなどの条件に恵まれているため、日本第二の工業生産額を占めている。
大阪から尼崎・神戸にかけての臨海地帯は阪神工業地帯の中心で、鉄鋼をはじめとする金属工業、造船、車両などの機械工業、ゴムなどの化学工業が発達し、大工場が並んでいる。大阪南部から堺・泉大津・貝塚に至る地帯は繊維工業のほか、金属・化学工業が盛んである。大阪から京都にかけては電気機械器具や食料品工業などが発達している。この地帯には大工場のほか下請けの中小工場が多く、これらの工場は業種ごとにまとまって、狭い地区に集まっている。大阪市東部の雑貨・玩具、神戸市長田区のゴム製品、堺市の自動車部品などはそのような中小工場の集まった例である。
大阪市は阪神工業地帯の中心であり、工業都市であって東京に次ぐ日本第二の大都市である。大阪は、淀川などの三角州の上に発達したもので、いくつかの川のほかに運河も多く、その水運は大阪の発展を助けてきた。大阪は日本第一の商業都市になり、「天下の台所」といわれた。市の中心部には、古くからの伝統も持つ衣料や薬・雑貨などの問屋街が多い。蔵屋敷のあった中之島付近には事務所や官庁が集まって近代的高層ビルが建ち並び、商業地区をつくっている。心斎橋筋や道頓掘、東京の銀座や新宿に比べられる繁華街である。
大阪を中心に神戸・京都・奈良・和歌山などの方面にJRのほか、私鉄によって大阪とつながっている。また、自動車による交通運輸が著しく増えたので、名古屋や京都・大阪・神戸をつなぐ自動車専用道路がつくられ、さらに東海道新幹線の開通によって、大阪は東京と約3時間で結ばれるようになった。そのほか、大阪も航空路・航路の起点で、人や物資が活発に動き、西南日本一帯に強い影響を与えている。神戸港は、横浜港とともに日本を代表する貿易港で、近代的な港の施設が整い、大阪港とともに阪神工業地帯の玄関としても、重要な役割を果たしてきた。
京阪神は中央低地に位置し、土地が良く肥えているうえに、米を作るのに十分に人手を掛け、たくさんの肥料を注ぎ込むので、米の収穫量が多く、品質も優れている。大阪平野や京都・奈良の盆地の農村では、集約的な近郊農業が発達している。トマト・キュウリ・茄子・キャベツなどの野菜類が多毛作でつくられ、都市に出荷している。大阪平野南部の玉葱・葡萄、奈良盆地の大和西瓜、京都盆地の竹の子・宇治の茶などのような、特産物で知られている作物も少なくない。工業の発展に伴って耕地が減少し、農家から工場への通勤者が増え、兼業農家が増加している。
琵琶湖は滋賀県の真中にあり、約680平方キロメートルあり、日本最大の湖である。深さが場合によって違うので、水温にも変化があって、日本全国の湖や川に棲む魚の、ほとんどの種類が見られる。琵琶湖の周りの近江盆地では、耕地の約90%が水田である。琵琶湖の水は、発電・潅漑や工業用水などの重要な水源となり、京都や大阪の市民の上水道として、大切な飲料水の源となっている。このように琵琶湖の水は京阪神の人々の生活や産業にとって欠くことのできない、重要な働きをしている。
北部の山地では古くから牧牛が行われ、とくに但馬牛は有名である。そのほか、養鶏や養蚕なども行われている。南部山地では産業の発達が遅れているが、林業資源が豊かで海岸近くでは温暖な気候を利用して、蜜柑栽培など特色ある産業が行われている。紀伊山地は気候が暖かいうえに雨が多く、土も森林の成長に適している。日本でも指折りの森林地帯となっており、杉・ひのきなどの森林が茂っている。紀伊半島の沖には黒潮が流れ、良い漁場が広がっている。志摩半島の英虞湾では真珠の養殖が盛んに行われ、静かな入り江と適度な水温を利用して、真珠の養殖を営む会社がいくつもあり、養殖真珠は世界各地に輸出されている。
京浜と京阪神との間の交通は陸上交通の大動脈となっている。電車と新幹線は各方面へ運行しているほか、高速道路が伸びていて便利であり、大阪湾の海上に関西国際新空港はアジアの各国や日本各市との結びつきが強い。また、舞鶴港から北海道の小樽港へもフェリーが通じている。奈良と京都は日本で最も古い町で、市内には古い神社、寺院があり、国宝や重要文化財として世界的な価値を持つものが少なくない。こちらは周辺の美しい山地や丘陵地とよく調和して、国際的な観光都市になっている。近畿地方には伊勢志摩、吉野熊野、山陰海岸国立公園があり、景色の良い所が多く、琵琶湖や近江などが有名な観光地である。

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