2、指示・依頼の断り方
(1)上司の指示を断る
課長・:今度の新商品の販売企画を君に任せたいと思っているんだが、どうかな。
李 :課長、私を指名してくださったことはとてもうれしいのですが、私には荷が重すぎます。もっと適任者を捜していただけないでしょうか。
課長・:君ならやれると思うんだが。
李 :ありがとうございます。でも、課長や会社にご迷惑を掛けることになってはいけませんから、やはりご辞退させてください。
(2)先輩の依頼を断る
先輩・:李君、悪いんだけど、ちょっとこのコピーをしてもらえない?
李 :ごめんなさい、先輩。今、急ぎの仕事を抱えているので、・・・。
先輩・:あ、そう。じゃ、他の人に頼むよ。
(3)同僚の依頼を断る
先輩・:李さん、悪いんだけど、ちょっとこのコピーをしてもらえない?
李 :ごめん。今、急ぎの仕事を抱えてるんだ。
先輩・:あ、そう。じゃ、他の人に頼むわ。
常套表現と解説
・ すみませんが~ので・・・
▼ 悪いけど~んで、・・・
▲ 申し訳ありませんが、~ので・・・
・ すみませんが、ちょっと・・・
▼ 悪いけど、ちょっと・・・
▲ 申し訳ありませんが、ちょっと・・・
・ それは勘弁してください
他のことならともかく、その件についてはちょっと・・・
お気持ちはうれしいのですが、ちょっと・・・
・ 私には荷が重すぎます
部長のご期待に添える自信がございません
皆さんの足手まといになっては申し訳ありませんので、・・・
会社にご迷惑を掛けることになってはいけませんから、やはりご辞退させてください
一番難しいのが断り方でしょう。「イエス」「ノー」が鮮明な言語圏の方は直截的で、「駄目です/できません」のように、はっきり意志表示することが多いようです。ところがこの言い方は、日本人にはどきっとするほど厳しい拒絶と受け止められてしまいます。 そこで、日本人は先ず先輩や上司であれば・の▲印の「申し訳ありませんが、~」、同僚や後輩であれば▼印の「悪いけど、~」などの詫びを言って、それから断らなければならない事情を述べます。そして、日本人は最後まで「駄目です/できません」という言葉を避けて、後は察してもらう言い方をします。これが「察しの文化」と言われるものですが、「断りの言葉を使わずに断る」のが日本語の特徴です。この「断り方」を失敗すると人間関係を一瞬で壊してしまう恐れがありますから、ぜひみなさんに体得していただきたいことの一つです。
なお、・は理由を言いたくないときの断り方ですが、社内での仕事関係の話では、事情ら理由を述べる・の言い方が適切です。・は先輩や同僚から何かを頼まれたのですが、他の仕事が重なっていてできないときの言い方です。
・は先輩や目上の人から個人的に何かを頼まれたときに多く使われる断りの表現です。特に「それは勘弁してください」は意味上は「許してください」と同じですが、とても困っているという感情が強く表れます。
・は上司から自分が自信を持てないような仕事上の指示を受けたときの断りの常套表現です。「できないことは引き受けない」というのはビジネスマンのもう一つの鉄則ですから、自分の力で無理だと思ったときははっきり断った方が後で問題が生じません。