上司への進言というのは勇気がいるものですし、言い方にも気を使うものです。これは会社内での自分の意見の述べ方にも関係してくるのですが、できるだけ直截な言い方を避けて、相手に判断を任せる言い方をすることが大切です。特に上司の意見に反対するときの言い方には注意した方がいいでしょう。またここでは、関連して申し出の仕方、部下への忠告の仕方も取り上げておきました。
1、意見の述べ方
(1)上司への進言の仕方
<疑問提示型>
部長 :この商品は採算がとれそうもないし、今期限りで製造を中止したらどうかと思うんだが、どうだろうか。
課長 :ええ、でも、それはちょっと・・・。
李 :部長、私もそれはどうかと思います。売れ行きも少しずつ伸び始めているところですから、もう少し様子を見たらいかがでしょうか。
<対案提示型>
部長 :今回の企画の責任者には若手を起用しようと思うんだが、李君はどうだろう?
課長 :お言葉を返すようですが、李君にはまだ荷が重いかと思います。
部長 :じゃ、誰が適任だと言うんだい?
課長 :ここはベテランの女性社員のお願いしたらいかがでしょうか。
<慎重論型>
部長 :・・・ということで、○○社との取引に関しては、この際、中止したいと思っている。
李 :部長、失礼とは存じますが、敢えて直言させていただきます。
部長 :うん、どうぞ。
李 :部長のご意見もわかりますが、しかし、○○社は今後、わが社にとっても重要なパートナーになる可能性を秘めております。その将来性を考えた場合、私はこの問題については、もう少し慎重に検討した方がいいのではないかと思います。
<直言型>
李 :部長、○○社との取引に関して、もう一度考え直していただくわけにはいかないでしょうか。
部長 :君の意見は会議でも聞いたが、役員会の決定なので、僕一人の判断で変えるわけにはいかないんだよ。
李 :その点は十分承知しておりますが、しかし、拙速な判断は禁物かと存じます。
部長 :もはや、会社の決定となっている。今更、変更は無理だよ。
李 :お言葉を返すようですが、どうしても今回の会社の決定には納得がいきません。
部長 :そんな無茶なことを言うもんじゃないよ。まかりまちがったら、君ばかりか、僕の首が飛ぶよ。