3、部下への忠告の仕方
(1) 思いやり型の忠告
課長 :このごろ遅刻が多いようだけど、どこかからだの具合でも悪いの?
李 :申し訳ありません。これから気をつけます。
課長 :こんなことで評価を落とすのはもったいないわよ。
李 :はい。
直接、「どうして遅刻したんですか」と攻めるよりもはるかに効果的な忠告になります。「こんなことで評価を落とすのはもったいないわよ」と、ほめながら叱るのが上司としてのテクニックです。
(2) 寛容型の忠告
李 :今回はどうも申し訳ありませんでした。
課長 :失敗は誰に出もある。失敗から教訓を学べばいいんだよ。
李 :今後二度とこのような失敗はいたしません。
課長 :わかれば、それでいいんだよ。
反省している部下に「追い打ちを掛けるな」が忠告するときの鉄則です。そんな部下には上司としての寛容さを示し、慰めるぐらいの余裕を持ちましょう。
(3) 掌握型の忠告
課長 :こんなことはあまり言いたくないんだけど、君、最近ミスが続いているね。君らしくないよ。何か悩み事でもあるのか。
李 :申し訳ありません。ちょっと、・・・。
課長 :噂では、どこかのクラブのママに熱を上げているとのことだが、悪いことは言わないから、今のうちにやめた方がいい。
李 :そんなことまでご存じだったんですか。
課長 :うん、これでも君の上司だからね。僕の期待を裏切らないでくれ。
私生活のことまで掌握している上司というのは、部下から見れば怖いもので、頭が上がりません。しかし、そのことにはさりげなく触れ、「君らしくないよ」とか「僕の期待を裏切らないでくれ」とか付け加える心配り、これが忠告の秘訣かもしれません。
(4) 警告型の忠告
課長 :自分の失敗を人のせいにしたり、言い訳がましいことを言うのはやめなさい。
李 :申し訳ありません。
課長 :同じようなことが二度三度と繰り返されるようでは、これ以上上司としてかばい切れません。きちんと始末書を書いてきなさい。
李 :はい。
「始末書」というのは社則で懲罰に相当するような過ちをしたときに書く反省書ですが、二度三度と繰り返されると、懲戒処分の対象となります。これは上司から部下への警告ですが、「これ以上上司としてかばい切れません」の一言は、上司として部下を思う気持ちが表れています。