3、 取引先への抗議の仕方
(2)契約不履行を抗議する
<納品の遅れを抗議する>
李 :今日が商品の納入のお約束の日だったはずですが、いったいどういうことなのでしょうか。
取引先:もう二、三日お待ちいただけませんか。
李 :それはあまりに一方的すぎます。こちらは予約のお客様から、「どうなっているのか」と強い催促を受けて、ほとほと困っております。これは当社の信用問題に関わります。
取引先:申し訳ございません。担当者とも相談の上、至急納品できるようにいたしますので。
李 :いつまでならできるのですか。
取引先:明日中には必ず。
李 :わかりました。必ずお約束をお守りください。さもないと、貴社とのお取り引きは今後できないことになりますので。
<支払いの遅れを抗議する>
取引先:あのう、お支払いの件ですが、もうしばらくご猶予いただくわけにはいかないでしょうか。
李 :ご無理はおっしゃらないでください。こちらは今月中にお支払いいただけるというお約束でしたから、一ヶ月お待ちしたのです。上司にこの話を持っていった私の身にもなってくださいよ。
取引先:ご無理なお願いであることは重々承知なのですが、もう一度だけご猶予いただけませんか。
李 :これ以上はもう私の力ではどうにもなりません。もし、お支払いいただけないのであれば、こちらといたしましては法的処置も考えざるを得ません。
常套表現と解説
・ お支払い(納品・お約束…)今日のはずですが、いったいどういうことなのでしょうか
再三の申し入れにも関わらず、お聞き届けいただけないのはどういうわけでしょうか
・ ご無理はおっしゃらないでください
それはあまりに一方的すぎます
私の身にもなってください
当社もほとほと困っております
当社の信用問題に関わります
・ 貴社とのお取り引きは、今後できないことになりますので
こちらといたしましては法的処置も考えざるを得ません
ビジネスの世界では契約をめぐるトラブルは付きものですが、相手に全く誠意が見られないときは抗議に移ることになります。そのときの最初の抗議の切り出しに使われるのが・のような表現です。もし、相手側が契約の履行の遅れについて様々な口実をつけた場合は、断固とした態度をとることが必要でしょう。・はそんなときの比較的ソフトな言い回しになりますが、その場合でも、強硬手段に出ることもあり得るということもほのめかし、・のような最後通牒を突きつけておいた方が効果的でしょう。それでも相手が契約を履行しようとしなければ、損害賠償などの法的手段を執ることになります。