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最后的朋友 第十回
日期:2014-01-09 15:24  点击:1322
『最終章  愛と死』 
 
宗佑(錦戸亮)に覆いかぶさられた瑠可(上野樹里)は、側に転がって 
いたランプで思い切り宗佑を殴りつけ、なんとかその場を逃げ出した。 
  
洋服屋に飛び込んだ瑠可は、手ごろなシャツを掴むと試着室に入り、 
震える手で着替えながら声を立てずに号泣する。 
  
取れてしまったマグカップの取っ手を接着剤で直すタケル(瑛太)。 
「よし。」 
「くっついた?」と美知留(長澤まさみ)。 
「うん。」 
 
「ただいま。」普段と同じ様に挨拶する瑠可。 
「お帰り。」 
「どうしたの?その傷!」と美知留。 
「ああ...ちょっとバイクで転んじゃって。 
 でもたいしたことないよ。 
 あー、喉渇いた。」 
「でも消毒しようよ。」と美知留。 
「あー、いいよいいよ。」 
何事もなかったように振舞う瑠可。 
しかしタケルは、瑠可が嘘をついているのではないかと感じていた。 
夜 
「サワディカー 
 いかがですか?手作りのトムヤムクンは?」とエリ(水川あさみ)。 
「おー!」 
「あのこちら、魚介入りサラダになっております。 
 で、こちら、エビ入り、生春巻きになっておりますので、 
 召し上がって。」とエリ。 
「全部美知留ちゃんの手作りでしょ!」と友彦(山崎樹範)。 
「チッ!」エリが睨む。 
「...いただきまーす。」 
「これいいよ~!片手で食べられるし。」とタケル。 
「よく考えたね、美知留。」と瑠可。 
美知留が微笑む。 
「美知留ちゃん、今度は是非、コスプレもお願いします!」と友彦。 
「バーカ!」とエリ。 
 
その時、ドアチャイムが鳴る。 
その瞬間、凍りつく一同。 
「...誰が出る?」と友彦。 
怪我をしているタケルが立とうとする。 
「いいよタケルは。」とエリ。 
瑠可が席を立ち、玄関に向かう。 
  
「どなたですか?」 
「滝川エリさんに、お届け物です。」 
ほっとする一同。 
だが美知留はみんなの怯えた様子を受け止め...。 
  
「私でしたー。」とエリ。 
「なんだよ、もうー。」と友彦。 
「すみませんでしたね。」 
「...ごめんね。 
 私、やっぱりここを出る。 
 どっかで、一人で...」と美知留。 
「バカなこと言うなよ。」と瑠可。 
「でも...私さえ出ていけば、みんなこんなにビクビクしないで 
 済むじゃない。」 
「...美知留を一人には出来ないよ。 
 あいつはしつこいからね。 
 どんなことをしてでも、美知留の居場所を突き止めるだろうし。 
 そうなった時に、美知留が一人だと危ない。」と瑠可。 
「...」 
  
撮影現場 
「お願いします。やらせてもらえませんか!? 
 俺頑張りますから!」とタケル。 
「いや...頑張るったって、その手じゃどうにもならないでしょ。 
 ごめんね。もう変わりも決めちゃったから。」 
そう言い立ち去る上司。 
タケルは怪我のせいで映画の仕事を失くしてしまった。 
  
「...ごめんなさい、私。」と美知留。 
「美知留ちゃんのせいじゃないよ。 
 ...負けちゃダメなんだよ、こんなことで。 
 美知留ちゃんは、何があっても、諦めて戻ったりしちゃダメだよ。 
 それは、瑠可を裏切ることになる。 
 瑠可は命がけで、美知留ちゃんを守ろうとしているんだから。」 
「...」 
  
公園 
宗佑は直也(澁谷武尊)が砂場で母親と遊んでいるのに気づく。 
「お兄ちゃん!!」直也が宗佑に駆け寄る。 
「一緒に遊ぼうよ。」 
「お母さんが帰ってきたんだから、もう寂しくないよね。」 
「でも、お兄ちゃんとも遊びたいよ。」 
「お兄ちゃんは、これから頑張って、大切な人を取り戻すんだ。」 
「ふーーん。」 
「だから君は、お母さんを大切にして、仲良くしなきゃダメだよ。」 
「うん。わかった!」 
「ほら。」 
宗佑に促され、直也は母親の元へと戻っていく。 
宗佑はそんな直哉を微笑んで見つめ... 
そして背を向け歩き出す。 
 
別の日、エリは、ある週刊誌に瑠可の記事が載っていることに気づく。 
『モトクロスの人気女子ライダー「性同一性障害」だった!?』 
記事には瑠可の写真も載っていた。 
 
シェアハウスに戻ったエリがタケルにその記事を見せる。 
「なんでこんなことを...。 
 やっかみだとしても酷すぎるよね。」とエリ。 
「...」 
 
そこへ瑠可が戻ってきた。 
慌てて雑誌をゴミ箱に捨てるエリ。 
「何やってんの?」と瑠可。 
「うん?ううん...。」 
瑠可はゴミ箱から雑誌を取り出し、ページをめくっていく。 
「瑠可...」とエリ。 
「これ全部嘘だから。」 
「...うん。」とエリ。 
 
瑠可の部屋 
瑠可は辛い表情を浮かべて雑誌を破り捨て...。 
 
クリーニング店に出してあった皆の服を受け取りに行った美知留と友彦。 
「パンツが紛れてましたが。」と店員。 
「あ!!それ俺のです、俺の! 
 一応...勝負パンツです。」と友彦。 
その言葉に美知留が遠慮がちに笑い出す。 
 
瑠可の部屋をノックするタケル。 
「はい。」 
「ちょっといいかな?」 
「...どうぞ。」 
「...さっきの、ことだけど。」 
「...」 
「...美知留ちゃんに、言わなくていいの?」 
「...何を?」 
「自分自身のことを。 
 自分の気持ち。 
 瑠可が、何を思って、生きてきたかってこと。 
 本当は、一番わかってもらいたいのは、美知留ちゃんなんじゃないの?」 
 
クリーニング屋から智彦と美知留が戻ってきた。 
「あ!勝負パンツのことはくれぐれも、しーっ!」 
 
自分の部屋に行こうとした美知留は、瑠可の部屋から話し声が 
聞こえてくることに気づく。 
 
「美知留には、絶対に言えないよ。 
 美知留にだけは...。 
 美知留と私は、中学ん時に会った。 
 それから今まで、いい思い出が沢山ある。 
 ...卒業間際になって、美知留がいなくなって... 
 もう二度と会えないのかと思ったら...目の前が真っ暗になった。 
 出会えた時はうれしかったよ。 
 夢なんじゃないかなって思うぐらい。 
 ...でも、怖かった。」 
「怖い?」 
「美知留は、私のことを、友達としか思っていない。 
 でも私は...違うから。 
 最初から...私の気持ちは、友情じゃ... 
 友情だけじゃなかった。」 
「...」 
「それを知ったら美知留は、傷つくと思う。 
 美知留の心の中の、真っ白い思い出が... 
 灰色になる。」 
  
ドアの外で瑠可たちの話を聞いてしまった美知留は、 
混乱し、シェアハウスを飛び出した。 
 
「美知留!?」 
瑠可はその物音に窓から外を覗き...。 
 
井の頭公園 
美知留は瑠可との思い出の場所を、二人でよく座って話したベンチを 
見つめ、ますます混乱してしまう。 
「美知留。」瑠可との再会。 
「最初から...私の気持ちは...友情じゃ... 
 友情だけじゃなかった。」瑠可の言葉。 
そして、 
「こいつは女じゃない。 
 男みたいな目で、男の目で君を見てるんだ。」 
そう言っていた宗佑の言葉を思い出し...。 
 
シェアハウス 
「美知留ちゃんどこ行っちゃったんだろう。」と友彦。 
「うん...大丈夫だよ。心配しなくても。」とエリ。 
そこへ、美知留が戻ってきた。 
「お帰り! 
 ごめんね。ご飯先食べちゃった。 
 あ、美知留ちゃんも食べるよね。」とエリ。 
「あ...私...いいや。」 
美知留はそう言うと、瑠可を見ようともせず、部屋に行ってしまう。 
 
早朝、美知留は荷物をまとめ、シェアハウスを出ていこうとする。 
「美知留ちゃん?」タケルが声をかける。 
「...心配しないで。彼のところに行くんじゃないから。 
 暫く、お母さんのところに泊まろうと思って。」 
「...美知留ちゃん。 
 瑠可は美知留ちゃんを...とても大切に思ってる。 
 それを...受け入れること出来ない?」 
「...そうじゃないの。 
 どうしていいかわからないの。 
 どんな顔で...瑠可の顔を見たらいいか...。 
 私は...どうやったって瑠可の気持ちには応えられない。 
 その溝を...ずっと見ているみたいで...辛いの。」 
「わかるけど...。」 
「じゃあ...。」 
美知留が出ていく。 
 
部屋で二人の会話を聞いていた瑠可は...。 
 
実家のチャイムを鳴らす美知留。 
返事がせず、ドアを開けてみる。鍵は開いていた。 
部屋の中で、母?千夏(倍賞美津子)は男と楽しそうにテレビを 
見ていた。 
「お母さん。」 
「あらお帰り。めずらしいね。」 
「今夜、泊まるね。」 
「うん。いいよ。」 
自分の部屋に入る美知留。 
「でもいつまで?」母の声に黙り込み...。 
 
本屋 
瑠可の父?修治(平田満)があの雑誌を手に取り...。 
 
お父さん...こんな形で知ってしまうとは...。 
 
モトクロス練習場 
コースを走り終えた瑠可に、林田監督(田中哲司)が声をかける。 
「よし!46.2だ。いい具合に仕上がってる。この調子でいけよ。」 
「はい。」 
「いよいよだな、お前の夢の舞台。 
 やれることは全部やった。 
 あとは迷わず、自分を信じていけ。」 
「はい。」 
「雑念は捨てろ!レースに集中していけ。」 
「はい!」 
瑠可が再びコースに戻っていく。 
 
監督は雑誌のことを知っているのでしょうか。 
 
更衣室から出てきた瑠可は、そこに父の姿を見つけて驚く。 
修治はうつむき、考え込んでいた。 
「...お父さん。」 
「あ、いや...ちょっと、顔見たくなってさ。」父が微笑む。 
 
タケルがバイトするバー 
「いよいよ、あさってか。 
 どんな気分だ?」 
「落ち着いてるよ。やることはやったし。 
 目の前に、おっきい、静かな海があって、 
 あとはそこに飛び込むだけって感じ。」 
「そうか...。」 
「...ありがとうね、お父さん。」 
「うん?」 
「お父さんのお陰で、私ここまで来れた。 
 小さい時から、私の味方だったよね。 
 嫌なことは、やらせようとしなかったし。 
 やりたいことは、力いっぱい、応援してくれた。」 
「...幸せなのか?お前...。」 
「...」 
「満足、してるのか?」 
「してるよ。 
 好きなことで勝負してるんだもん。幸せに決まってんじゃん。」 
「...そうか。なら...いいんだ。」 
「何だよ。」瑠可が笑う。 
「...お前...お父さんに何か言いたいことがあるんじゃないのか?」 
「... 
 ごめんねお父さん。 
 私は...普通の女の子とは違うんだ。」 
「...」 
「だから...お父さんが望むような形では、幸せを見せてあげられない。 
 結婚もしないし... 
 子どもも産まない。」 
「でもお前...先のことはどうなるかわからないだろ。」 
「わかってるんだ。 
 私は...男の人を好きにならない。 
 ...なれないんだ。」 
「...」 
「でも心配しないで。 
 私は私の道を行く。 
 私のやり方で、幸せになるから。 
 それだけは約束するから。」 
「瑠可...」 
「ごめんね。 
 ...でも... 
 お父さんにだけは...知ってて欲しかった。 
 これが本当の私だから。」 
そう言い涙ぐむ瑠可。 
「...そうか。 
 お父さんは、お前を応援するよ。 
 親に出来ることは、それ位だもんな。」 
「ありがとうお父さん...。」 
瑠可を見つめて微笑む父。 
 
離れた場所で二人を見守っていたタケルもほっとしたように微笑む。 
 
公園のベンチに座り考え込む修治。  
仕事を終えたタケルが修治に気づく。 
 
「どうぞ。」ペットボトルのお茶を差し出すタケル。 
「ああ...」 
「大分、飲まれていたようなので。」 
「優しいんだな。 
 じゃ。」お茶を飲む修治。 
「...君が、娘と付き合ってると思ったんだがな...。」 
「...すみません。 
 力不足で...。」 
「力不足か。」修治が笑う。 
「小さい頃から、あいつは、スカートよりズボンが好きでね。 
 夏になると、短パン履いて。 
 川で、ザリガニ取ったり、山でセミ取ったり、 
 泥んこになって、男の子と遊びまわってた。 
 活発で、可愛い子だった! 
 ...可愛い娘だよ...俺にとっては...。」 
修治はそう言うと泣き出し...。 
 
朝 
仕事に行くエリと友彦を見送るタケルと瑠可。 
「じゃあ明日。レース会場でね!」とエリ。 
「うん。」 
「じゃあ!」 
「行ってらっしゃい!」 
「行ってきます。」 
 
「...美知留ちゃん、帰ってこなかったね。」友彦がエリに言う。 
「それは言わないの、オグリン!」 
 
「...でもきっとレースには来るよ。」とタケル。 
「...そうかな。」 
「きっと来る。」 
タケルの言葉に微笑む瑠可。 
「じゃあ、行ってきます!」 
「行ってらっしゃい!」 
 
会社に向かうエリと友彦。 
「エリさん!!あれ!!」 
友彦に言われてエリが公園を見る。 
すると、ベンチに宗佑が座っていた。 
二人に気づいた宗佑が、立ち去ろうとする。 
「待ちなさいよ! 
 ...近くをうろついたり、乱暴したり、 
 プレッシャーかけてるつもりかもしれないけど、 
 私には効かないからね。 
 可愛そうだなーって思うだけ。」 
「...」 
「正直そういうことばっかりしてると、 
 美知留ちゃんの気持ちはどんどん冷めていくよ。」 
「...」 
「しがみついてくる男なんて最低なんだから! 
 少しは引くってこと覚えなさいよ!!」 
「エリさん、ちょっと...」友彦が止めようとする。 
「男なら引く。 
 少し引いて、美知留ちゃんを楽にしてあげるの。 
 何でそんなこともわかんないのよ!!」 
「...」 
エリは思いをぶつけると、その場を去る。 
慌ててエリを追いかける友彦。 
 
「あのさ、」と友彦。 
「...人事じゃないんだからね。」 
「え!?」 
「男は、人に頼ってばっかじゃダメってこと。 
 オグリンもさ、もう、奥さんとこ戻ったら?」 
「...」 
エリは友彦を置いて歩き出す。 
 
千夏のアパート 
千夏と恋人が飲み散らかした部屋を片づける美知留。 
そこへ、千夏の恋人がやって来た。 
「千夏ちゃーん。熱いなー。」 
「お帰りー。」 
「現場の近く飲んだから。お土産。」 
「ありがと!あら、シュウマイ!?」 
 
家の電話が鳴る。 
「はい、相田です。」 
「...美知留?」 
「宗佑...」 
「洋服とかなくて、困ってるだろう? 
 うちにある、君の荷物まとめたんだ。」 
「...」 
「一度来てくれないか? 
 合鍵も、返して欲しいし...。 
 今日君の友達に言われたよ。 
 男なら引けって。」 
「...」 
「...もう終わりにしようと思うんだ。」 
 
美知留は一人で宗佑のマンションを訪ねていく。 
インターホンを鳴らすと、宗佑は笑顔で出迎える。 
 
「荷物、ここにまとめておいた。」 
「...ありがとう。」 
美知留は合鍵をテーブルに置く。 
「...じゃあもう行くね。」 
「待って。今コーヒー入れるから。」 
宗佑がコーヒーを入れている間、部屋を見渡した美知留は、 
ベッドの下に瑠可のお守りを見つける。 
「宗佑...瑠可...ここに来たの?」 
「...うん。来たよ。 
 あいつが、君を好きなのは知ってるだろ?」 
「...」 
「初めてあいつを見た時に思ったんだ。 
 僕らの仲を、裂こうとするやつがいるとしたら、こいつだって。 
 思ったとおり、邪魔しにやって来た。」 
「どういうこと?」 
「あいつバカなんだ。 
 力ずくで、君を守れると思ってる。 
 ...力なんてないくせに。」 
 
美知留はタケルの言葉を思い出していた。 
「瑠可は命がけで、美知留ちゃんを守ろうとしているんだから。」 
 
「瑠可は...なんて言ったの!?」 
「...本当に、美知留を愛しているのは、この私だ。 
 だから絶対に渡さない。」 
 
その時の瑠可の言葉を思い起こす宗佑。 
「美知留はこれから、いくらだって幸せになれる。 
 その邪魔を、あんたにだけは絶対にさせない!」 
 
お守りを握りしめながら、美知留は瑠可の優しさを思い起こす。 
「タケルが、好きなの?」と聞いてくれたこと。 
雨の中、自分を探しに来てくれたこと。 
「私の美知留に触んな!」 
宗佑に殴られた自分を見つめる眼差し。 
 
「あいつ、自分が男になったつもりで、 
 君を守るとかほざいてた。 
 でも所詮は女だよ。」 
「...」 
「上から押さえつけたら、ひとたまりもなかった。」 
「瑠可に...何かしたの!?」 
「...」 
「何をしたの!!」 
「何もしちゃいないよ。 
 ただ... 
 あいつのプライドを、へし折ってやっただけだ。」 
美知留は泣きながら、宗佑の頬を思い切り叩く。 
そして荷物を手に部屋を出ようとする。 
「どこに行くんだ!」 
「帰るんだよ!」 
「帰る?」 
「瑠可の...瑠可たちの所に帰るの!」 
宗佑が美知留の腕を掴む。 
「帰さない!」 
「どうして!? 
 荷物をまとめてくれたんでしょう? 
 鍵を返せって言ったのは宗佑だよ!」 
「そんなのは... 
 そうでもしなきゃ君はここに来ないだろ!?」 
「...嘘をついたの? 
 また嘘を...」 
「...」 
宗佑は美知留を突き倒し、頬を殴りつける。 
「やめて!」宗佑を突き飛ばす美知留。 
「もう私は、宗佑のものじゃないんだよ!」 
「あいつらがどうなってもいいのか!」 
「...」 
宗佑は美知留をベッドに突き飛ばす。 
「美知留。君は誰にも渡さない。」 
「やめて!」 
逃げ出そうとする美知留の腹を殴りつけ... 
美知留が悲鳴を上げる。 
 
天井を見つめて涙する美知留。 
宗佑は床に座っている。 
 
「宗佑... 
 ひとつだけ...約束して。 
 私の友達に... 
 二度と...手を出さないで...。 
 瑠可を...傷つけないで...。 
 タケル君を...傷つけないで...。 
 そう誓ってくれるなら... 
 私...ここにいてあげる...。 
 宗佑と...何度でも... 
 こうしてあげる...」 
「...何で泣くの?美知留... 
 泣きやんでよ...。 
 泣き止めよ!!」 
そう叫ぶながら涙をぽろぽろとこぼす宗佑。 
そして宗佑は、ベッドルームを出ていき、扉を閉め...。 
 
床に座った宗佑は、美知留の荷物から写真を取り出し 
一枚一枚見ていく。 
シェアハウスの仲間と撮った写真。 
美知留の、みんなのはじけるような笑顔に、 
宗佑は声を殺して号泣する。 
 
朝 
色違いのマグカップ 
一箇所にまとめられた美知留の荷物。 
蓋の開けられた大きな箱。 
 
目を覚ました美知留は、隣の部屋の様子を伺い...。 
 
レース会場 
観客席に父?修治、母?陽子、弟?省吾が来てくれていた。 
複雑な表情を浮かべる陽子に、修治は勇気付けるように手を握る。 
瑠可に向かって微笑みかける三人。 
瑠可も微笑み、小さく頷く。 
「お姉ちゃん!頑張ってね!」省吾の笑顔に瑠可はもう1度頷く。 
 
服を着た美知留は、隣の部屋に行ってみる。 
宗佑はソファーで眠っていた。 
美知留はゆっくりと宗佑に近づいていく。 
 
スタートラインにつく瑠可に、林田が頑張れよ、と合図をする。 
「瑠可ー!頑張れ!」 
エリの声に客席を見ると、エリ、友彦、タケルが来てくれていた。 
力強く頷く瑠可。タケルも頷き返す。 
 
15秒前。 
バイクにつけていたお守りに触ろうとた瑠可は、そこにお守りが 
ないことに気づき、ぎゅっと手を握り締め目を閉じる。 
「美知留...行くよ。」 
 
美知留の瞳から涙がこぼれる。 
 
レースがスタートする。 
 
ウエディングドレスを抱きしめて眠る宗佑。 
宗佑の手首から流れ出る血液で、ドレスは真っ赤に染まっており...。 
 

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