Lesson 1:基本中の基本
関西弁。私は方言が大好きです。
しかし、この方言の他地域からの評価たるや、酷いものです。
「気持ち悪い」、「馬鹿みたい」、「漫才師みたい」、「恐い」…。
今、その評価を覆すのは非常に難しく、また、その為に行うディベートは非常に無意味な物でしょう。
何故なら、評価している人が正しく関西弁を理解していないからです。
そこで、是非関西弁を前述の様にお考えの方には、この講座で関西弁を正しく理解して頂き、再度評価願いたいと思っています。
まずは例題をご紹介しましょう。
よく、「これが理解できれば、関西弁はマスタしたのも同然」と言われている高等な例題ですが、有名な会話です。
例題1)関西弁
黒ちゃん:「あれチャウチャウちゃう?」
にっしゃん:「ちゃうちゃう。チャウチャウちゃうで」
そもそも、チャウチャウかそうでないかもわからないのか?
そういうツッコミはおいておきましょう。
「ちゃう」=「違う」と訳される事が多いですが、それが誤解を招くのです。
では、試しに「ちゃう」=「違う」で標準語に訳してみましょう。
標準語訳(誤訳)
黒河君:「あれチャウチャウ違う?」
西元君:「違う違う。チャウチャウ違うで」
どこか、おかしいですね。というよりヘンテコな関西弁です。
それは、「ちゃう」を全て「違う」と訳してしまうからそうなるのです。
黒河君の「ちゃう?」は「違いますか?」ではなく、同意を求める「ちゃう?」です。
ですから「~ちゃう?」は「~だと思うのだけど、どう思いますか?」が正しいのです。
西元君の「ちゃうちゃう」も「違う」を2回言っているのではなく、強く否定しています。
関西では回数や発音の長さが強弱を表す事があります。
では、それを踏まえて訳してみましょう。
標準語訳
黒河君:「私は、あの犬をチャウチャウ犬だと思うのですが、あなたはどう思われますか?」
西元君:「違います。チャウチャウ犬ではありません。」
しかし、「ちゃう」は非常に親しい間柄で使用される言葉なので、この様な堅苦しい会話にはなりません。
模範解答
クロ:「あれチャウチャウじゃない?」
ジミー:「ちがうつーの。チャウチャウじゃねぇよ」
よくある関西弁講座はこの例題から始まります。
しかし、いきなりこの様な難しいところから始まるのは、空手を今日から始めるという人に胴廻し蹴りから教える様なものです。
基本中の基本は挨拶と数字です。
挨拶は標準語とそれほど変りません。
標準語 → 関西弁
おはよう → 「おはよう」、「おはようさん」、「おぅ!」、「毎度」など
こんにちは → 「こんにちは」、「おぅ!」、「毎度」など
こんばんは → 「こんばんは」、「えらいこんな時間に」、「お疲れさん」、「おぅ!」、「毎度」など
※「おぅ!」、「毎度」の様にいつでも使える挨拶や、業種によってはいつでも「おはよう」を使う場合もあります。
数字は、基本的に個々の読み方はあまり特殊ではありません。
1(イチ)
2(ニ)
3(サン)
4(ヨン、シ)
5(ゴ)
6(ロク)
7(ナナ、シチ、ヒチ)
8(ハチ)
9(キュウ)
10(ジュウ)
特殊なのは、1~10までを数える時です。
標準語では、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10と同じ音程、同じリズムで数えます。
しかし、関西では、いーちぃー、にぃいっ、さぁーん、しっ?、ごぉー、ろっく、しーちっ、はぁちっ、くぅー、ぢゅ!!!(提供:らんさん)
音程は↑↓↑↓↑↓↑↓↑↑と上がったり下がったりです。どなたかMIDIなどで再現して頂ければ幸いです。何しろ、絶対音感という物がないもので…。
次回は、英語の教科書に出て来る様な内容で関西弁を解説したいと思います。