Lesson12:一般消費者の関西弁
以前、北海道に旅行した際、土産物店で「お客さん、どこから来たの?」と聞かれたので、「神戸」と答えると「関西の人かぁ~。値切りが厳しいなぁ…」と言われた事があります。
他の地域の人の感覚だと、「ここで値切ったらまた言われる」と考えるのでしょうか?
関西人は違います。
なんや、値切られるん覚悟の値段かいな。ほな、値切らなアカンな( ̄ー ̄)
別に値切らなくてもいいじゃないかと思われますか?
関西人はそんな事では納得しません。値切られる事を前提に値段設定しているという事は、黙っていれば「ボラれる」という事です。
勿論、商売ですから、「赤字になるまで」なんて事はいいません。適正な利益を出して頂いて結構です。
しかし、「ボラれる」のは許せません。同じ商品を誰にでも同じ値段で売るのではなく、値切った人と値切らない人とで値段が変るのです。これは差別です。
差別を無くす為にもここは「値切る」べきです。
関西人は基本的に「平等」が好きです。当然人間ですから「特別扱い」される事に不快感を持つ事はありませんが、基本は「みんなと一緒やったらしゃあないな」と思っています。
しかし、みんなと一緒ではない(特に自分だけ損をしている)事は許せません。
ですから、みんな最大限の努力をするのです。
以前、友人が購入したストップウォッチのボタンが購入後10日ほどで取れてしまった事がありました。
壊してしまった本人が「一緒に来て欲しい」というので、ある人物も一緒にそのストップウォッチを購入したお店へ。
道中、できればすぐに直してくれたら助かると言っていたので、「頼んでみよか?」とある人物が交渉役になる事になりました。
(ちょっと彼はもの静かなので店員さんがお願いを聞いてくれないかも知れないので…)
ある人物:「すんません」
店員さん:「はい?」
ある人物:「このストップウォッチなんですが、ボタンが取れてもうたんで、直して欲しいんですけど…」
店員さん:「保証書はお持ちですか?」
ある人物:「はい」(店員さんに保証書を渡す)
店員さん:「そうしましたら、商品をお預かり致しまして、修理させて頂きます」
ある人物:「どれくらいで直りますか?」
店員さん:「2週間ほどお預かりする事になります。」
ある人物:Σ(゜▽゜;)
店員さん:(?_??)
ある人物:「すんません、責任者の人呼んでもらえませんか?」
店員さん:「はあ?」
ある人物:「今からキツイ事言いますんで、責任者の方を呼んでもらえませんか?」
店員さん:「いえ、私が承りますが…」
ある人物:「ほんまにおねえさんでええの?ほんまに?」
店員さん:「はい」
ある人物:「なんでボタン1個くっつけるんに2週間もかかんねん?」
店員さん:「え?それはですね、デジタル時計の場合修理は工場に送ってそちら修理する事になっていますので…」
ある人物:「壊れとんはボタンやろ?デジタルもクソも関係あらへんやんけ」
店員さん:「しかし、そういう規則になっておりますので…」
ある人物:「ここから工場に送んのに1日、ボタンくっつけるんに5分、工場からここまで1日。なんぼかかっても3日やろ?それとも何か12日と7時間55分も待たなあかんほどココの時計はよう壊れんのか?」
店員さん:「ですから2週間以内で完了した場合は、お客様へのサービスという事で…」
ある人物:「買うてすぐに壊れる様なもん売っといて、修理に2週間もかかって、はよできたらサービスやと?ええ商売しとんのぉ」
店員さん:「買われてすぐと申されましたが、ご購入後1週間以上経たれておりますので…」
ある人物:「ほな、買うて1週間そんままやったらどないやねん?」(そんなわけありません)
店員さん:「え?……買われてどれくらい使われました?」
ある人物:「はあ?おもろい事聞くやんけ。使うた回数か?測った時間かいな?どっちや?あぁん?回数やったら15回ほど、時間やったら3分程度じゃ!」(大嘘です)
店員さん:「えっと…」(そのまま下を向いて沈黙してしまう店員さん)
ある人物:「もうええわ。デジタルやったらどこ壊れても工場送って2週間かかんねんな?」
店員さん:「はい」(やっと納得したか?と表情が少しだけ明るくなる店員さん)
ある人物:「わかった。今ここで粉々にブチ壊したるさかい、2週間で元に戻せ。絶対直せよ!2週間で!ほんで別の時計買うて帰るわ」
店員さん:「……………」(何言出すねんな~という表情になる店員さん)
店長さん:「お客様!お客様!」(奥から走って登場の店長さん)
ある人物:「なんや?」
店長さん:「丁度同じ商品の在庫がございましたので、初期不良という事でお取替えさせて頂きます」
ある人物:「交換してくれんのかいな?」
店長さん:「はい。ただ今回は特別なケースという事で次回からは何卒ご理解頂けます様お願いします。」
ある人物:「さよか、すまんな。ねえちゃん、だから責任者呼んでいうたやろ?」
店を離れ、壊した本人に新品になった時計を渡し、「サラになったよかったなぁ」とにこやかに微笑んだある人物に対して、壊した本人は
「ならず者や」の一言。
失礼な話です。すぐに直したいと言ったのは、壊した本人であり、ある人物は壊した本人の期待する以上の結果(新品に交換する)をもたらしたのに「ならず者」呼ばわりです。
しかし、このある人物はまだ良心的で、キツい事を言うから責任者を出す様に促しております。さらに本当によいのか?と念まで押しています。
おっと、ついつい愚痴が…。
もし、店員さんの言う事をそのまま聞いておれば、2週間も待たされていたことでしょう。
努力すれば、もっと早く対応してもらえるのに…。(新品になるかどうかは別です。これは運がよかっただけです)
それでは別の例を見てみましょう。
この例は、支払う価値がないと思っている物に対しては、例え法に反してでも支払わないという例です。
ある会社の取締役のある人物にN@Kから電話がかかってきました。
職員さん:「私、NH@の××と申します。○○さんでいらっしゃいますか?」
ある人物:「はい、そうです」
職員さん:「○○さんのことろにはテレビがございますよね?」
ある人物:「ええあります」(この会社にはビデオ再生用にテレビが設置されている)
職員さん:「でも、受信料はお支払い頂いておりませんね」
ある人物:「そうですね」
職員さん:「お支払い頂きたいのですが…」
ある人物:「いやです」
職員さん:「………。お支払い頂く事は法律で定められているんですよ」
ある人物:「勿論知ってます。でも、罰則は定められていませんよね?」
職員さん:「ええ、まあ。どうしてお支払い頂けないのでしょうか?」
ある人物:「その理由をあなたに説明すれば、免除してもらえるんですか?」
職員さん:「そういうわけにはいきません」
ある人物:「では、説明しません。時間の無駄でしょ?」
職員さん:「どうしてそうなるんですか?」
ある人物:「だって、いくらあなたに説明しても、免除されないんでしょ?免除されるのであれば説明しますが、されないのであれば時間の無駄やないですか?」
職員さん:「………。わかりました。今日は一旦電話を切らせて頂きます。またお電話させて頂くと思いますが…」
ある人物:「それがおたくの仕事なんやっら…」
このある人物は、実は誤解がありました。
この@HK職員さんが、会社にテレビがあるのに受信料を支払えと言ってきているものだと思っていたのです。
※テレビは置いていますが、ビルに設置されているアンテナは接続されていません。ビデオ再生専用テレビです。
しかし、N@K職員さんは自宅のテレビの受信料について、自宅に電話したところ、奥様が「私ではわからないので、主人と直接会話して下さい」と答えられたので会社に電話をしてきたらしい。
とんだ勘違いです。
ちなみに私が昔住んでいた地域は、誰も受信料を払っていませんでした。
ですから、小学五年生になるまで「受信料」の存在を知りませんでした。
同一地域に住む友達と高校生の時に、別地域の友達の家に遊びに行った時、「受信料」を払っているシールを初めて見た時の感動を今でも憶えています。
(今住んでいる地域はちゃんと支払う地域です)
この様に企業の取締役であったとしても(お金に不自由をしていなくても)、自分の納得できない事に対してはビタ一文支払ません。
つまり、関西人は納得できなければ、絶対に引かないという確固たる意志があります。
自分だけ損をするのは許せない、納得できなければダメ。
この二つの信念をもって行動すると考えれば、他の地域の皆さんも関西人の行動をご理解していただける事でしょう。