[白文]3.子曰、巧言令色、鮮矣仁。
[書き下し文]子曰く、巧言令色、鮮なし仁。
[口語訳]先生(孔子)がこうおっしゃった。『巧妙な弁舌に感情豊かな表情、そういった人は、見せ掛けだけで本当の思いやりの心が少ないものだ』
[解説]仁の徳を完成させる為には、目上の人に対して従順な「孝悌の徳」を欠かすわけにはいかないが、ただのご機嫌取りや曲学阿世の徒ばかりを君主の周りに集めたのでは社会の秩序や安全が揺らいでしまうということである。巧言令色とは、言葉が上手くて弁舌が爽やかであり、見た目にも魅力的な容姿をしているものをいう。孔子は、巧言令色をもって為政者(権力者)に擦り寄り、民衆を苦しませる悪政の原因となる「媚びへつらいの奸臣(上役へのゴマすりで私利を図る政治家や役人)」を警戒したのである。