[白文]5.子曰、道千乗之国、敬事而信、節用而愛人、使民以時。
[書き下し文]子曰く、千乗の国を導くには、事を敬んで(つつしんで)信あり(まことあり)、用を節して人を愛し、民を使うに時を以ってせよ。
[口語訳]先生(孔子)がこうおっしゃった。『戦車千台を戦争に用いる諸侯の国を治めるには、政治を行うのに慎重でありつつ、一度決断したことは実行すること。政治の費用を節約して人民を大切にすること。人民を使役する場合には、適切な時機(農閑期)を選ぶことだ。』
[解説]古代の殷王朝・周王朝の時代から、貴族は四頭立ての戦車に乗って戦争を戦っていたが、春秋時代末期から戦国時代に掛けて、貴族の戦車同士の戦闘よりも農民の歩兵による白兵戦が多くなってきた。この文章は、千乗の戦車を戦争につぎ込める中規模の国を治める君子の心構えについて聞かれた孔子が、その弟子の問いに答えて『政治に対する慎重さと信義・人民に対する慈愛』の大切さを語ったものとされる。