[白文]18.子曰、事君尽礼、人以為諂也。
[書き下し文]子曰く、君に事えて(つかえて)礼を尽くせば、人以て諂えり(へつらえり)と為す。
[口語訳]先生が言われた。『君主に仕えるに当たって礼の義務を尽くせば、人はそれを君主のご機嫌取り(へつらい)だという。』
[解説]主君を蔑ろにして政権を専横していた魯の三家老(孟孫・叔孫・季孫)を孔子は嫌い、正統な主君である定公に礼を尽くしてお仕えした。しかし、実力者である三家老に肩入れしている人の多い魯では、孔子は「君主のご機嫌を取って出世を狙っている人物」と見なされることもあった。孔子の礼や忠の中心は、「君臣の義を明らかにすること」にあるといっても過言ではない。