[白文]19.定公問、君使臣、臣事君、如之何、孔子対曰、君使臣以礼、臣事君以忠。
[書き下し文]定公問う、君、臣を使い、臣、君に事うる(つかうる)にこれを如何(いかん)。孔子対えて(こたえて)曰く、君、臣を使うに礼を以てし、臣、君に事うるに忠を以てす。
[口語訳]魯の定公が尋ねられた。『君主が家臣を使い、家臣が君主に仕えるにはどのような心がけを持てばいいだろうか?』孔子は答えて申し上げた。『君主が家臣を使うには礼節をもって臨み、家臣が君主に仕えるには忠実なまごころをもって臨むことです。』
[解説]孔子が昭公の後を継いだ魯の定公に仕えた時に、定公が凋落した君主の権威と家臣の誠実を取り戻すためにはどうしたら良いかを孔子に尋ねた文章である。「君臣の別」を明確にすることを大切にする孔子は、君主が家臣に対する場合には「礼の伝統」に依拠し、家臣が君主に対する場合には「忠のまごころ(誠実)」を発揮すべきだと回答した。