[白文]3.子曰、唯仁者能好人、能悪人。
[書き下し文]子曰く、唯(ただ)仁者能く(よく)人を好み、能く人を悪む(にくむ)。
[口語訳]先生(孔子)がこうおっしゃった。『仁の徳を体得した仁者だけが、人を真に愛し、人を真に憎むことができる。』
[解説]孔子にとって最大の徳は飽くまで「仁」であり、仁者とは「ありのままの自然な感情」を無理に抑圧する聖人ではなく、自然な感情を節度ある形で相手に表現し伝達することのできる者のことである。仁者だけが相手を無能にするような形で盲愛(溺愛)することなく、相手を真に深く愛することができる。同時に、相手を不当に憎悪するのではなく、相手の反省や再起を促す形で自然に憎むことができるのである。