[白文]9.子曰、士志於道、而恥悪衣悪食者、未足与議也。
[書き下し文]子曰く、士、道に志して、悪衣悪食(あくいあくじき)を恥ずる者は、未だ与(とも)に議る(はかる)に足らず。
[口語訳]先生がこうおっしゃった。『立派な士で、君子の道を志していながら、粗衣粗食を恥じるようでは、まだ共に語る相手としては不足だね。』
[解説]「士」というのは、「卿・大夫・士・庶人」という春秋戦国時代の身分の一つで、貴族階級の下位の身分に当たる。孔子に随従した弟子の多くも、この「士」の身分であり、国の君主や卿に取り上げられて出世すると「大夫」の身分になって国政に参与するようになった。