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以玉伪造玉树枝之车持皇子(二)
日期:2014-05-23 15:07  点击:475
【庫持皇子の話】
 
(二)
 かかるほどに、門(かど)をたたきて、「庫持の皇子おはしたり」と告ぐ。「旅の御姿ながらおはしたり」と言へば、会ひ奉る。皇子のたまはく、「命を捨てて、かの玉の枝持ちて来たる」とて、「かぐや姫に見せ奉りたまへ」と言へば、翁持ちて入りたり。この玉の枝に文(ふみ)ぞ付きたりける。
 
  いたづらに身はなしつとも玉の枝を手折らでただに帰らざらまし
 
 これをあはれとも見でをるに、竹取の翁走り入りていはく、「この皇子に申したまひし蓬莱(ほうらい)の玉の枝を、一つの所あやまたず持ておはしませり。なにをもちてとかく申すべき。旅の御姿ながら、わが御家へも寄りたまはずしておはしたり。はやこの皇子にあひ仕うまつりたまへ」と言ふに、物も言はで、つらづゑをつきて、いみじう嘆かしげに思ひたり。この皇子、「今さへなにかと言ふべからず」と言ふままに、縁にはひ上りたまひぬ。翁、ことわりに思ふに、「この国に見えぬ玉の枝なり。このたびは、いかでかいなび申さむ。さまもよき人におはす」など言ひゐたり。かぐや姫の言ふやう、「親ののたまふことを、ひたぶるにいなび申さむことのいとほしさに、取りがたきものを」。かくあさましくて持てきたることをねたく思ひ、翁は、閨(ねや)のうち、しつらひなどす。
 
(現代語訳)
 
 こうしているうちに、門をたたいて、「庫持の皇がおいでになった」と皇子の使者が告げてきた。「旅のお姿でいらっしゃる」と取次ぎの者が言うので、翁はお会いした。皇子が言うには、「命を捨てて、あの玉の枝を持って来ました」と言って、「かぐや姫にお見せください」と言うので、翁は玉の枝を持って奥に入った。その玉の枝には、手紙が結びつけてあった。
 
 <たとえむなしくわが身が果てたとしても、玉の枝を手折らずに手ぶらで帰りはしなかったでしょう。>
 
 かぐや姫は、大してすばらしい歌とも思わずにいると、翁が部屋に走って来て言うには、「あなたがこの皇子に申し上げた蓬莱の玉の枝を、少しもたがわずに持って来られた。これ以上何をもってとやかく言えましょう。しかも、旅のお姿のまま、ご自分のお屋敷にもお寄りにならずお越しになっている。もはやこの皇子に嫁ぎなされ」と言うのに、かぐや姫は物も言わず、頬杖をついて、たいそう嘆かわしそうにしている。皇子は、「今となっては何やかんやと言えないはず」と言うやいなや、縁側に這い上がった。翁はもっともと思い、「この国では見られぬ玉の枝です。このたびはどうしてお断り申せましょう。ようすもよいお方だ」などと言っている。かぐや姫が言うには、「親の仰せをひたすら拒み続ける気の毒さから、手に入れがたいものを注文しましたのに・・・」。このように意外な感じで、皇子が持ってきたことをいまいましく思っていた。一方、翁は、寝所の中の準備をし始めた。

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