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伊勢物語(七十一)
日期:2014-05-26 15:14  点击:497
七十一 ちはやぶる
 
 昔、男、伊勢の斎宮(さいぐう)に内(うち)の御使にてまゐれりければ、かの宮にすきごといひける女、わたくしごとにて、
 
  ちはやぶる神の斎垣(いがき)も越えぬべし大宮人(おほみやびと)の見まくほしさに
 
男、
  恋しくは来ても見よかしちはやぶる神のいさむる道ならなくに
 
 
【現代語訳】
 昔、ある男が、伊勢の斎宮の御殿に勅使として参上していたところ、その御殿で色ごのみの話をした女が、女房の立場をはなれて個人的な気持ちを表して、
 <神聖な神様の場所を囲んでいる垣を越えてしまいそうです。宮廷からおいでになった方にお逢いしたくて。>
男は、こう答えた。
 <恋しいなら飛び越えておいでなさい。神様は恋を禁じたりなんかしませんよ。>
(注)ちはやぶる ・・・ 「神」の枕詞。

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