◆五重塔 ~幸田露伴
技量は抜群だが、世渡りが下手でいつも不遇な「のっそり十兵衛」という大工が主人公。あるとき江戸・谷中の感応寺に五重塔を建立することになり、十兵衛の親方・源太が仕事を引き受ける。十兵衛は自分の名を残す好機と考え、「ぜひ私の手で」と住職に懇願する。源太は二人で協同してやろうと申し出るが、十兵衛は拒否、源太が辞退したのを受け、独力で仕事を始める。十兵衛の忘恩を憎んだ源太の弟子たちに襲われて片耳を失うが、それでも仕事を休まない。そして、五重塔は立派に完成する。落成式の前夜、大暴風に襲われるが、十兵衛は自らの技を信じて動揺しない。が、最後は「塔の倒れるときが自分の死ぬとき」と心に決めて、塔に上る。夜が明けると江戸じゅう大きな被害を受けていたが、十兵衛の建てた五重塔は無傷ですっくとそびえていた。
技量は抜群だが、世渡りが下手でいつも不遇な「のっそり十兵衛」という大工が主人公。あるとき江戸・谷中の感応寺に五重塔を建立することになり、十兵衛の親方・源太が仕事を引き受ける。十兵衛は自分の名を残す好機と考え、「ぜひ私の手で」と住職に懇願する。源太は二人で協同してやろうと申し出るが、十兵衛は拒否、源太が辞退したのを受け、独力で仕事を始める。十兵衛の忘恩を憎んだ源太の弟子たちに襲われて片耳を失うが、それでも仕事を休まない。そして、五重塔は立派に完成する。落成式の前夜、大暴風に襲われるが、十兵衛は自らの技を信じて動揺しない。が、最後は「塔の倒れるときが自分の死ぬとき」と心に決めて、塔に上る。夜が明けると江戸じゅう大きな被害を受けていたが、十兵衛の建てた五重塔は無傷ですっくとそびえていた。