東電社員殺害事件で再審を再び認める
7月31日 12時10分
平成9年に東京電力の女性社員が殺害された事件で、東京高等裁判所は別の男が犯人だという可能性を否定できないとして検察の異議を退ける決定をし、ネパール人男性の再審裁判のやり直しを再び認めました。検察が今後、最高裁判所に申し立てを行なっても認められる可能性は低いとみられ、裁判がやり直される見通しが強まりました。
平成9年に東京電力の39歳の女性社員が殺害された事件で、東京高等裁判所は先月、無期懲役が確定したネパール人のゴビンダ プラサド マイナリさんの再審裁判のやり直しを認める決定を出しました。マイナリさんは釈放されてネパールに帰国しましたが、検察は異議を申し立て、東京高裁の別の裁判官が再審の判断が妥当かどうかを改めて検討していました。
決定で東京高等裁判所の八木 正一(やぎ しょういち)裁判長は、「新たなDNA鑑定の結果、別の男が犯人だという可能性を否定できない。鑑定結果について無罪を言い渡すべき新たな証拠にあたるとして、再審を認めた判断は妥当だ」と指摘して検察の異議を退け、再び再審を認める決定を出しました。
検察は最高裁判所に特別抗告することもできますが、認められるのは憲法違反などの場合に限られるため、結論が変更される可能性は低いとみられ、裁判がやり直される見通しが強まりました。
「決定内容はきわめて当然かつ適正公正な判断で、マイナリ氏が無罪であることをいっそう明らかにするものです。空疎な主張を繰り返すことなく、すみやかな無罪判決の確定に向けて積極的に行動することこそが検察の理念にかなうものです。」
「きょう、新たに希望の持てる決定を聞き、心からうれしく思います。この希望に満ちた思いで今後も進んでいきたいと思います。」
一方、決定について東京高等検察庁は、「主張が認められなかったのは遺憾だが、東京高裁の2度にわたる判断であり、重みのあるものとして受け止めている。上級庁とも協議して適切に対応したい」というコメントを出しました。