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パパが歩いていること
日期:2014-11-26 07:18  点击:661
 きょ年の父の日のことはぜったい一生わすれられません。
「パパが今日、二回もころんだんだって。何だろうね。とにかく、いそいでかえるよ。」
 母が言いました。
 いえにかえると、父はふとんにあおむけになっていて、こう言いました。
「うごけなくなっちゃった。」
 母はびょういんにでん話をして、父をかついで車にのせました。わたしはだまってついて
いきました。
 あとからおねえちゃんがびょういんにかけつけましたが、そのときはもう、父はだらんと
していました。おねえちゃんとわたしはタクシーでいえにかえって、父と母はきゅうきゅう
車でほかのびょういんへ行きました。
 〝のうこうそく?というびょう気でした。
 母はそのとき、おいしゃさんから、
「さいあくの場合( しぬこと)も考えておいてください。」
「もしなおっても車いす。どんなにがんばってもつえはのこりますよ。」
と言われていたそうです。
 母はわたしたちが学校にいっている間、何ども大きな声で泣いていたそうです。
 さいしょは、お見まいに行っても、父は赤ちゃんみたいに何もしゃべらないし、わたしがよ
んでもこっちをむくこともできませんでした。それでも、わたしたちは父の手や足をさすり
ました。何もかんじないらしいけれど、一生けんめいさすりました。
 父はだんだん元気になってきました。ある日ゆびがうごいて、ある日すわれるようになっ
て、ある日、立てるようになりました。そして、とうとうある日、父は、つえにたよりながら、
ゆっくりゆっくり歩けるようになりました。
 一年たった今。父のつえは下駄箱のおくにしまったままです。それどころか毎朝近所の遊
歩道を走っています。電車にのってしごとへ行きます。わたしをだっこしてくれます。
「次は、かた車が目ひょうなんだ。」
「かぞくをおいて、しぬわけにいかないよ。」
と、父はにこにこわらいます。
 その〝思い?で、苦しいリハビリをがんばってくれたと思うと、心のそこから父に「あり
がとう」を言いたいです。
 それに、あきらめないでがんばったら何でもできるということを、証明してくれました。
歩くことや話すことはあたり前ではなくて、すてきな〝きせき?なんだということも教えて
くれました。
 ありがとう、パパ。パパ、ありがとう。

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