「ランドセル 何度も背負い ふり返る
一年生に なったつもりで」
わたしが小学校に入学する前に、わたしのお父さんが作っ
た短歌です。小学校に入学するのが待ち遠しくて、何も入っ
ていない新しいランドセルを、何回も何回も背負ってはふり
返って、ポーズを取っていたことを思い出します。
他にも、お父さんがわたしの小さいころから、たくさんの短
歌を作っていたことを知りました。
「窓を開け 五月の風に 吹かれてる吾子の横顔 ちょっぴりおませ」
「そんなにも 早く大きく ならないでつぶやいてみる 吾子の寝顔に」
わたしは、この短歌を聞いた時、はずかしいような、でも
ちょっぴりうれしいような、不思議な気持ちがしました。こん
な風にわたしも、短歌で人に自分の気持ちを、伝えられたらい
いなあと、思いました。
そこで、わたしもお父さんと短歌を作ってみることにしま
した。
お父さんは、
「短歌を上手に作ろうとしなくていいんだよ。」
と、教えてくれました。
最初は、五文字と七文字の言葉をたくさん書いて、それをい
ろいろ組み合わせて作りました。
「夏休み ラジオ体操 通ったよ
ねむかったけど 楽しかったよ」
「阿波おどり おはやし聞くと おどり出す
さじきやぶ台で スポット浴びて」
わたしにも少しずつ短歌が作れるようになった気がしまし
た。
そうしたらお父さんに、
「次はお母さんのことを、短歌にしてみたら? 」
と、言われました。
いくつか作った後なので、お母さんのことについての短歌
なら、いくらでも作れそうな気がしました。
「阿波おどり ずっといっしょに 通ったね
真夏の暑い 暑い体育館」
「ありがとう 言うのは少し はずかしい
つかれたときは かたもみするね」
全然上手じゃないけれど、少しは、お母さんに対する気持ち
が伝えられたかなと思います。
お母さんの短歌を考えている時、わたしは今までしてくれ
たことを、次から次へと思い出して、心から「ありがとう」と
言いたくなりました。
お父さんもわたしの短歌を考えている時は、わたしのこと
を思いうかべながら、作ってくれていると思うと、むねがいっ
ぱいになりました。
これからも両親への感謝の気持ちをわすれないようにした
いです。また、お父さんといっしょに短歌を作ります。