「おいしかったよ。ありがとう。」
この言葉は、お父さんと私と妹の食後の口ぐせだ。するとお母
さんは、私の大好きな顔でうれしそうにわらう。
「おいしいって食べてくれる家族がいて、うれしい。」
と言う。私も、やさしいえ顔が見れて、おなかもいっぱいで、し
あわせな気もちになる。
私のお父さんとお母さんは、いつもいろいろな時に、『あり
がとう』を言い合っている。私にも何かあるたび、すぐに言っ
てくれる。
「かんしゃの気もちを大切にしよう。」
とけっこんする時にやくそくしたそうだ。
小さいころから、
「ありがとうの言葉は、まほうの言葉だよ。人の心をほかほか
あたたかくするんだよ。」と教えられてきた。
一年前、左うでをこっせつし、手じゅつをうけた。たいいん
してギブスをしたまま学校へ行った。左うでがまったく使え
ないので、すごくふあんだった。教室に入ると、友だちがえ顔
でむかえてくれた。ほっとした。友だちがいつもたすけてくれ
て、こまったことは一つもなかった。毎朝しょうこう口で友だ
ちがまっていて、ランドセルをもっていってくれて、きがえも
手つだってくれた。まちがえた字をけしゴムでけしてくれた。
給食も用意してくれた。そのたびに、
「ありがとう。」
「ありがとう。」
「ありがとう。」
しか言えなかった。友だちは、え顔で何でもやってくれた。お
父さんお母さんから教わったまほうの言葉のおかげで、私が
つらい時、友だちにたすけてもらえたのだ。たくさんのやさし
さとえ顔をもらった。その時、私の心は、じーんとあつくなり、
ほかほかしているのに気がついた。『ありがとう』の言葉は、
言う人の心も言われる人の心もあたたかくするんだな。
こんなにすてきな言葉を教えてくれた、お父さん、お母さん
に、大きな声で『ありがとう』と言いたい。そしてこれからも、
家族や友だちやまわりの人に、このまほうの言葉を使って、み
んなの心をほかほかにしていきたい。