私の父は、遠くはなれたベトナムという国ではたらいてい
る。もうすぐ四年になる。私たちも二年間ベトナムでくらし
ていた。でも一年前、母と私と妹だけ先に帰国することになっ
た。早く日本に帰りたいという気持ちと、父とおわかれしたく
ないという気持ちが半々だった。私たちが本帰国する日、父と
私は一つの約束をした。
「咲良が泣くとパパも泣いちゃうから泣かないでね。また会
えるんだから笑顔でバイバイしようね。」
と父は言った。それを聞いて私はうなずくのがやっとだった。
でも空港でわかれる時、やっぱり私はがまんができなくて泣
いてしまった。父はこまった顔で私の顔をじっとみていた。た
ぶん父も泣いていた。
あれから一年がたった。私はいつもねる前に父のことを考
える。私が母におこられた時に父が頭をなでてくれたこと、父
と二人で自転車に乗って金魚を買いに行ったこと、プールで
私を投げとばしてくれたこと。父のことを考えていると父に
会いたくなる。
父は一年に二回ぐらい日本に帰ってくる。今回は、七月十九
日から一週間出ちょうで帰ってきた。やっぱり父が家にいて
くれるだけで家の中が明るくなったような気がした。いっ
しょにごはんを食べたり、いっしょにおふろに入ったりする
だけで本当に幸せだなと思った。私は、いまだに父とバイバイ
する時は、なみだが出てしまう。父の姿がみえなくなると大声
で泣いてしまう。そんな時、私と妹を母がだきしめてくれる。
パパ、約束を守れなくてごめんね。早く本帰国して日本にも
どってきてね。パパ、いつも私たちのために働いてくれてあり
がとう。パパ大好き!