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第十八章:伝統演劇~『牡丹亭』
日期:2015-01-14 13:28  点击:397
 昔、南安県の太守・杜宝には杜麗娘と言うたいへん美しく、聡明な娘がいた。 
 
 杜宝は娘のために先生を招き、中国古代の詩歌集『詩経』を学ばせた。 
 
 杜麗娘と一緒に読書をしていた召使の春香は、遊びに夢中で、よく授業をさぼって外へ遊びに行っていた。 
 
 当時の封建社会は女性に対してたいへん厳しく、少女の婚姻はすべて両親により決められていた。嫁ぐ前に、一度も主人の顔を見たことがない人もいた。麗娘は『詩経』をよく読んでいたため、古代の詩歌に描かれた男女が自由に恋しあう生活に憧れていた。 
 
 ある麗らかな春の日、春香は「家の裏に綺麗な花園があるよ」と麗娘を誘った。 
 
 幼くから封建的礼儀と道徳をかたくなに守り、毎日閨房や書斎に閉じこもり、刺繍をしたり、書を読んだり書いたりして過ごしてきた彼女は、一度も外へ出て遊んだことはなかったが、この日は、春香に誘われて、こっそりと花園へ遊びに行った。 
 
 花園の景色のそれは美しいこと。柳の木には緑が吹きかえり、池の辺には苔が生え、牡丹が満開で、色とりどりの花が美しく咲き乱れていた。ウグイスは梢で歌を歌い、遠くにはうっそうと樹木が茂っている山がかすかに見えた。 
 
 美しい春の景色を目にした麗娘は、毎日のわが身を哀れに思い、自分の青春もこの大自然の春景色と同じく、美しいけれど、瞬く間に褪せてしまうものだと嘆いた。春景色は一番美しい時に、眺めてくれる人がいなければ、どんなに美しくても役に立たないと物の思いに更けた麗娘は、物悲しさから抜け出せず、ふさぎこんで閨房に戻り、眠りについた。 
 
 夢の中で麗娘は花園に戻っていった。そこで、彼女は柳の枝を手にした若い書生と出会う。書生は麗娘の美貌と聡明さに惚れ、乙女が青春をいたずらに送っていることを惜しんだ。麗娘は書生が自分の気持ちをよく理解してくれていると思い、心の中に、恋が芽生えた。花園の中では、花の神様が皆軽快に飛び舞い、麗娘と書生の愛を祝ってくれた。 
 
 その時、彼女は母親に起こされ、夢から目覚めた。しかし、夢の書生を忘れる事ができず、彼女はもう一度こっそりと彼を探しに花園を訪れてみた。そこにある景色は夢のままだが、書生はそこにはいない。麗娘は彼を探しながら悲しくなり、閨房に戻ると病に患い、倒れてしまった。 
 
 あの美しい春の夢を心にとめ、彼女は自画像を描き、春香に花園の山石に置かせた。彼女は息を引き取る間際に、両親に花園の大きな梅の木の下に葬り、石碑を建ててくれるよう頼んだ。 
 
 それから、杜宝一家は遠くへ引っ越していった。ある時、ある書生がこの花園を通りかかり、病気に患ったため、付近の家で養生していた。書生の名は柳夢梅と言い、麗娘が夢の中で見た人だった。 
 
 彼は病が少し回復したところで花園へ散歩に出かけた。不意に麗娘の自画像を拾い、どこかで会ったことのある美しい乙女だと思い、画を持ち帰り書斎にかけた。 
 
 彼はその画を見れば見るほど、愛情が募り、毎日、生きた人間に声をかけるのと同じように、画に描かれた乙女に声をかけていた。 
 
 一方、麗娘は死んだ後、その魂は花園にとどまっていた。彼女は柳夢梅が自分のことをこれほどにも一途に思い、心から好きになってくれている様子を見て、毎晩彼に会いに書斎に来て、朝になると花園に戻った。 
 
 ある日、夢梅は麗娘に「どうすれば一緒にいられるの?」と尋ねた。彼女の「お墓をあければ生き返るわ」との答えに大喜びした彼は、鋤で墓を開けた。 
 
 そうすると、麗娘は本当に息を吹きかえし、以前と同じように美しかった。 
 
 こうして二人は幸せな夫婦に結ばれたのだった。 
 
 麗娘は愛のために死に、また、愛のために生き返る、というロマンチックな物語は、多くの人を感動させた。

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