中国西北部陜西省では、古くから刺繍のおもちゃが広く伝わっています。その題材は豊富で、ふっくらとした人形や、鳥、魚、カエル、豚、昆虫、果物、獅子、虎、それに十二支などがあります。これらを暖簾にしたり、におい袋やおもちゃにしたりします。この多彩さが、多くの農家の婦人たちを楽しませてくれます。この刺繍のおもちゃの作品は種類が多く、一針ずつ手縫いなので、同じものは二つとしてありません。また、刺繍は精巧かつ自由で、そこには想像力があり、飽きがこない作品ばかりです。色彩もカラフルで、農民の理想と願望が託されています。
中でも、鳥の刺繍は素朴です。しかし、ペストリーにしてあり、おおらか、かつシンプルなデザインになっています。カラーもいたってシンプルで、主に赤と青の対照を基調としていて、その間に、バラ色、萌黄色、黄緑色が混ざっています。この調和と対照的なカラーが刺繍を多彩なものにしているのです。