「ヤオ族」は中国の西南部で生活している民族。服飾は種類が多く60~70種類もあり、地域によって大きな差異があります。広西チワン族自治区で暮らしている「盤ヤオ族」の衣装は、他の少数民族と違って、老若男女問わず同じ形の衣類を着用しています。
図にある「ヤオ族」の女性の晴れ着は代表的な装飾です。衽(おくみ)、腰巻、ズボンの裾などに装飾と図案が集中しており、緻密に施されています。 衽の図案は三つの部分からなり、一つは「人公仔」という模様で、人の模様が一直線に並べられている形。次は「14節」という模様で、すなわち14針で一つの図形を刺繍に仕上げてあります。そして「排到哭」という模様で、この言葉の意味は、その仕事が泣けるほど辛いということです。洗練された技や忍耐力で、複雑な四角形、菱形、棒状などの図形が刺繍されます。この技術から盤ヤオ族女性の手の器用さと、美を求める表現心が伺えます。