山西省の東北部の五台山は、華北地域の奥地に位置する中国四大仏教名山の1つである。地上に現れた地殻の異なる地層の岩石層と地質構造が広大な面積を形成している。また、中国大陸の基礎部の地質構造と地質構成の状況を完全に示しており、世界で知られている25億年以前の古い地層構造を持つ最高の山脈である。五台山は高くて平な面、よく発育した氷河地形、独特な高山草原などの景観だけでなく、第4紀氷河およびきわめて大きな浸食力によってできた「竜蟠石」(うずくまる竜のような石)、「凍脹丘」(厳寒で氷が膨れ上がって盛り上がった丘)など氷と関係がある地形の奇観を目にすることもできる。
五台山の一番低い海抜は624m、一番高い海抜は3061mである。
五台山には奇妙な自然景観がたくさんあり、そのうち「円虹」が一番といわれる。普通の虹は雨の後に現れ、弧状だが、五台山には雨が降らなくても虹が見える。しかも円形のものだ。もっとも奇妙なのは、七色の円から、動物、鳥、仏様などの模様が見られる。物理、地理、気象などの要素が絡み合ってでできた奇妙な自然景観である。
五台山は、五つの峰に囲まれていることから、この名がついた。この五つ峰の頂上はいずれも平らで広く、東台、西台、南台、北台と中台と名がつけられ、これを合わせて「五台」と呼んでいる。
また、五台山は四川省の峨嵋山、浙江省の普陀山、安徽省の九華山と共に仏教の四大名山と呼ばれ、中でもその長い歴史や規模の大きさから、四大名山のトップと言われている。唐代から7つの王朝の異なる風格の寺院68ヶ所が現存しており、仏教の変化と発展を物語っている。
山内に北魏の時期に大浮図寺と呼ばれる寺が建立され、それ以後、多数の山岳寺院が建立された。最も繁栄した時期には、300以上の寺が林立していたといわれる。その後、三武一宗の廃仏および自然災害による破壊などにより、1956年頃にはあわせて124ヶ所しか残らなかった。なお、仏教の青廟と、ラマ教の黄廟と寺院には2つの種類がある。青廟99ヶ所、黄廟は75ヶ所が残る。
五台山には文化遺産、人的景観があるだけでなく、美しい自然景観もある。崋山の険しさや黄山の奇観はないが、蘆山の雲霧と雲海があり、他にはない仏光がある。五台山は毎年9月に初雪が降り、4月に雪解けを迎え、盛夏は涼しく爽やか。春と秋の旅行でもセーター、パッチは必要。ベストシーズンは夏。
ここにある南禅寺は現存する世界最古の木構造建築の1つ。仏光寺は東方最古の真珠と称されている。五台山のシンボル的な建築である大白塔は元代最高の覆鉢式塔(仏舎利塔)である。五台山風景区は山々が重なり合い、樹木が生い茂り、夏になると花が咲き乱れるが、山頂の氷は千年融けない。景色が素晴らしく、気候も爽やかなため、古来より避暑地となっている。