「お久しぶりです」。大学4年になる教え子がひょっこり教室を訪ねてきた。農学部DNAの研究をしているという。「最先端だね」と①喜んだ。あとは卒論の研究だけというから、相変わらず優秀。
一人っ子だから、卒業後は地元に帰って来てほしいというのが両親の願い。しかし人口3万の小さな島には就職先がない。たとえあったとしても、せっかく勉強してきたことが無駄になってしまう。今から公務員試験に向けて勉強しても間に合わないだろう。親思いの彼のこと、かなり悩んでいるようだ。どうやら修士・博士課程まで進みたいというのが、彼の本心らしい。
彼が中3のとき、私に( ② )「親孝行って何ですか」と聞いたことがある。あのときは答えられなかったけど、自分の娘が中3になった今、胸を張って言える。
「田舎に帰って、日々単調な仕事を繰り返すだけ。面白いことなんて何もない」とくすぶる子供を見るのは、私は嫌。だから、母一人子一人だけど「家なんて帰ってこなくていいよ」と言っている。親はどうやってでもお生きていける。ましてや君のところは両親そろっている。
自分の好きな研究を続けなさい。そして第二の田中耕一さんを目指すんだ。③そっちの方がずっと親孝行だと思う。頑張れM君。
練習問題
1、問題2.( ② )に入る言葉は次のどれか。
がっくり
かっちり
きっそり
こっそり
2、問題3.③「そっち」とは何か
家なんて帰ってなくていいこと
親孝行
田舎に帰って、単調な仕事を繰り返すこと
自分の好きな研究を続けること
3、問題1.①「「最先端だね」と喜んだ」とあるが、誰が喜んだか。
教え子
両親
私
自分の娘