子どもというものは、育児の過程で一度は親に夢を見させてくれる。我が家ではまずピアノを習わせたのだが、のみこみも早いし、ひょっとしてピアニストに、なんて思ったりしたら、バイエル90番で指がピタリと動かなくなり、嫌だ嫌だを連発するのでやめさせてしまった。当初は、今の先生で教え切れなくなったら東京の先生の所まで通わなくちゃ、とか①懐と相談していたのだけれど。まあ、②ある意味では親孝行な子だ。
随分後になって、息子が「僕がクラスの男子で一番ピアノがうまいんだよ」と自慢するのを聞いて、私はニンマリしたが、祖父は「この街の男の子はピアノは習わないってことか」と解説をつけた。おじいちゃんというのは冷静だなと、私は妙に感心した。
息子は現在中学2年生。楽しみは月に一度東京にお出かけすること。国立演芸場で落語を聞く、ゆりかもめに乗って台場観光。しゃれた喫茶店でお茶を飲む。人ごみで雑菌をもらうのか、翌日はなぜか熱を出すのだけれど。
育児をやっている最中はとにかく大いに夢を見ましょう。小学校、中学校と上級生になっていけば、嫌でも現実が見えてきますから。なかなかどうして、出所より優秀な「出藍(しゅつらん)の誉れ」とはいきません。夢は見られる時にたっぷり見ましょう。③先輩からのアドバイスですよ。
練習問題
1、問題1.①「ある意味では親孝行な子だ」とはどういう意味ですか。
東京の先生にピアノを習わせること
親の負担を軽くすること
息子はピアノがクラスで一番上手なこと
息子は親にやさしいこと
2、問題2.②「懐と相談していた」とはだれと相談したのか。
自分
お母さん
妻
お父さん
3、問題3.③「先輩からのアドバイス」はどれか。
まず子供にピアノを習わせること
出所より優秀な「出藍の誉れ」ということ
今の先生でなったら教え切れなく東京の先生のところまで通わなくてはいけないこと
夢は見られるときにたっぷり見ること