質問
「すごい、すばらしい、えらい」の違いは何ですか?
こたえ
「すごい」には大きくわけて3つの意味があります。
非常に程度が大きい
恐ろしいぐらい程度が大きい
怖い・気味が悪い
以下に、例文を示しておきます。
「すごい力持ちだ。」「すごい美少年だ。」「大勢の人ですごい混雑だ。」
「台風ですごい風が吹いている。」「彼女は相変わらずすごい食欲だ。」
「すごい表情でにらまれた。」「すごい目つきだ。」
副詞的な用法では「すごく」の形も使います(例:「彼は走るのがすごく速い。」)。また、(1)と(2)に意味は良く似ていて、どちらにあてはまるのか判断できないものもあるでしょう。基本的に は、(1)は「常識で考えられないくらい~~だ」という気持ちです。(2)は、「あまりに程度が大きく恐ろしくなるくらい~~だ」という気持ちです。これらの意味での「すごい」は、文脈によってプラスの評価にもマイナスの評価にもなります。また、(3)は、本来の意味(古典語での意味)に最も近い用法です。
「すばらしい」には大きくわけて2つの意味があります。
客観的に見て優れている
主観的に見て好ましい
これも、以下に例文を示しておきます。
「彼女の成績はすばらしい。」「すばらしい論文だ。」
「すばらしい天気だ。」「すばらしい景色だ。」
副詞的な用法では「すばらしく」も使います(例:「すばらしく晴れている。」)。(1)の意味での「すばらしい」は、プラス評価です。また、(2)の意味での「すばらしい」も文脈に関係なくプラス評価です。例えば、「すばらしい天気だ。」という場合は、実際の天気が晴れでも雨でも曇りでも、発話者にとって好ましい天気(プラス評価)だということを表わしています。
「えらい」には大きくわけて3つの意味があります。
人物の地位や評価が高い
程度が大きい
重大だ
これも、以下に例文を示しておきます。
「えらい先生だ。」「会社のえらい人に話を聞く。」
「駅がえらい混雑している。」「彼がえらい勢いで走ってきた。」「えらい大きな声が聞こえる。」
「政治家の逮捕でえらい騒ぎになっている。」「約束を忘れてえらいことになった。」
副詞的な用法では(人によっては)「えらく」という形も良く使います(例:「えらく混んでいる。」)。(1)の意味での「えらい」は一般にプラス評価ですが、それ以外の意味では中立かどちらかといえばマイナスの評価になります。特に(3)の意味での、〈重大なこと〉には(困難な問題がおこっているなど)あまり好ましくない場合が多く、マイナスの評価になりやすいといえます。また、(2)の場合も〈事柄の重大性〉という意味合いを含んでいます。つまり、「彼がえらい勢いで走ってきた。」というのは〈何か重大な問題があって急いでいる〉という意味を持ちます。
まとめ
すごい
「程度」の大きさをあらわす。文脈でプラス評価にもマイナス評価にもなる。「常識を超えた」「恐ろしいほど」という気持ちをあらわす。
すばらしい
「評価」の大きさをあらわす。基本的にプラス評価。主観的に使われると「好ましい」状況をあらわす。
えらい
「程度」の大きさをあらわす。中立かマイナス評価のことが多い。「事柄の重大性」という意味を含むことが多い。