宋代の蘇軾(そしょく)の詩に〈春江(しゅんこう) 戸(と)に入(い)らんと欲し/雨勢(うせい) 来(きた)りて已(や)まず〉とある。川があふれて家の中に入ってきそうだ、強い雨がやまない――。きのう、出勤前に自宅近くの川の増水ぶりを見てびっくりした
宋代的苏轼有首作品是【春江欲入户 雨势来不止】。河流上涨眼看着要冲入家中,暴雨却下个不停---。昨天去上班前,看见自家附近河流涨水的光景吓了一跳。
しかし、水の猛威はなまなかな予想をはるかに超えた。職場のテレビは鬼怒川の氾濫(はんらん)を映し出していた。茨城県常総市で堤防が決壊し、濁流が住宅地を襲った。戸を破って家を貫き、車を押し流す
但是,洪水的威猛远超半桶水的想象。公司的电视播出了鬼怒川泛滥的场景。茨城县常总市堤防崩塌,浊流冲袭了住宅区,冲破房屋穿流而过,还冲走了汽车。
屋根の上や2階で救助を待つ人があちこちに見える。「どうぞあきらめないで下さい」。被災者に呼びかけるアナウンサーの声がつらい。自衛隊のヘリが孤立した人をつり上げる様子を見つめ続けるほかなかった
到处可见在屋顶或者2楼等待救援的人。“请不要放弃”,广播员向受灾人员发出的呼喊令人心痛。只得紧盯着自卫队的直升机吊起孤立人员的情形。
栃木、茨城両県に降った記録的な大雨は、気象庁の担当者が「記憶にない」というほどの異常事態だった。レーダーの画像に驚く。南北に帯状に延びる積乱雲が両県の上空に居座って動かない様子がわかる。天はいつも気まぐれに暴れ、人知は後を追うしかない
栃木、茨城两县创历史性的大雨降雨是气象厅员工【记忆中从未有过的】异常事态。雷达的影像令人惊讶。可以看到,向南北延伸的带状积雨云盘踞在两县上空纹丝不动。天气翻起脸来反复无常,人类智慧只能紧随其后。
最大級の警戒を呼びかける特別警報は出た。栃木の場合はきのう未明だった。闇の中で「ただちに命を守る行動」を取るのは大変だったろう。昨年の広島県の土砂災害も未明のことだった
发出了呼吁最大级别警戒的特别警报。栃木昨天天都没亮。在黑暗中采取【保护生命的行动】很困难吧。去年广岛县的泥石流灾害也是天未亮时发生的。
災害の激甚化はどこまでいくのか。『雨のことば辞典』の文庫版を昨年出した倉嶋厚さんは、単行本出版以降の14年間に使われ始めた新語を追補している。「ゲリラ豪雨」を始め、どれも異常な気象現象が増えていることを示す言葉ばかりだ。自然の酷薄さが恨めしい。
灾难的极端严重化究竟会发展到何种地步?去年出版《雨的词汇辞典》文库版的仓嶋厚不断追加单行本出版14年以来开始使用的新词汇。以【游击暴雨】为首,都是显示异常气象现象不断增加的词汇。自然的残酷真可恨。