『記紀』では、神代は神話として正史と区別して書かれています。そして、神話のもっとも古い部分では、日本の国のことを「大八島国(おおやしまのくに)」と呼んでいます。
神話ができる時代に、すでに日本が島国であるという認識があったのですね。ここでいう島とは、淡路島、四国、隠岐、九州、壱岐、対馬、佐渡、そして本州をさします。すでにこれらの島々を自由に行き来する航海術が発達していたと考えられます。
縄文時代中期の大規模集落跡である青森市の三内丸山遺跡からは、いろいろな出土品に混じって、ヒスイが出土しています。この時代のヒスイはすべて新潟の糸魚川で産出したものであると分かっており、三内丸山遺跡と糸魚川の間の地域ではヒスイはほとんど発見されていません。同遺跡からは船のオールも発掘されていることから、かなりの航海術をもって、そんな遠くまで行き来していたと察せられるのです。