縄文式土器のような「文様」の装飾がある土器は、世界でも珍しいといいます。ただし、縄文人がわざわざあの文様をつけたのには理由があるそうです。単に装飾のためではないのです。
その第一の理由は、土器の耐久性を高めるためです。土器は粘土を焼いて作りますが、粘土の中に空気が混じっていると、 途中で割れたり、たとえ出来あがっても割れやすくなってしまいます。そこで、焼く前の土器に縄をぐいぐい押しつけて、粘土の中の空気を追い出したわけです。
そして第二の理由は、すべり止めのためです。土器は魚や動物の肉を煮るために使われましたが、脂肪分が表面についてすべりやすくなります。しかし、土器の表面にざらざらした文様があれば、持ちやすくてすべりにくくなります。あの文様が取っ手がわりにもなったというわけです。