奈良東大寺の大仏の開眼供養が行われたのは、752年4月9日のこと。ところが、現在に至るまでの千年以上の歴史の中では、大仏様にもずいぶんご苦労があったようです。
まず最初の災難が、源平争乱のさなかの1180年。大仏もその戦火に巻き込まれ、東大寺もろとも焼け落ちてしまいます。火をつけた犯人は平重衡の軍勢とも、般若寺の僧兵ともいわれますが、はっきりしていません。
後に源頼朝によって大仏は再建されますが、再び災難がやってきます。戦国時代まっただ中の1567年、今度は松永久秀の軍勢によって焼き払われてしまったのです。だからといって、当時は誰も大仏のことを気にかけている余裕はありません。百年以上も後の1692年になってようやく再建されました。
というわけで、現在、我々が見ている大仏様は、三代目ということになります。ただし、台座の部分だけは、奈良時代に造られた時のままだそうです。ありがたい、ありがたい。