邦楽
邦楽の演奏には、琴・三味線・尺八・和太鼓・笛など邦楽器全般が用いられます。曲構成の基礎となるのが、「序(導入)・破(展開)・急(終 結)」(一切の物事に序・破・急があり、一日の朝昼夜・四季・人の一生を表現する)という思想に基づいて表現され構成されています。また、西洋音楽のよう に曲にハッキリとしたメロディがなく単調なものがほとんどです。したがって、一つの音符を奏でるだけで、全てを表現し尽くさなければならないので非常に高 度な技術・表現力が必要です。また、邦楽は、琴・三味線・尺八などの日本の音楽を指す用語で、雅楽〔ががく〕・能楽、そして民 謡・郷土芸能などの民俗音楽を含めない考え方が一般的です。そして、音楽として単独に存在するよりも、文芸・舞踊・演劇などと密接な関係を持って存在して いる場合がほとんどです。文芸・音楽を総合した語り部〔べ〕、舞踊・演劇と結合した雅楽・浄瑠璃・長唄・能楽などがそうです。ただし、「近世邦楽」として称する事によって、上記すべての音楽を含ませる考え方ができます。日本文化いろは事典では、広く「近世邦楽」について解説していきます。