大正琴
琴というよりはスチール・ギターに近い。1912年(大正元年)、名古屋の発明家・音楽家の森田吾郎が制作。長さ約60cm、幅12~15cmの胴に2本の金属弦が張られ、タイプライターに似たキーが装着されている。左手でキーを押し、右手に持ったピックで弦をはじいて演奏する。奏法の容易さ、値段の安さ、また店頭でのデモンストレーション演奏や即席のレッスンなど積極的な宣伝活動、さらに楽器を持つことが豊かさのシンボルになった当時の風潮もあって爆発的に流行した。昭和10年代以降一時低迷したが、古賀政男のいわゆる古賀メロディーとともに再び人気が出た。独奏のほかにソプラノ、アルトなど音域の違う楽器による合奏も盛ん。哀調を帯びた音色で、流行歌や民謡のほか、西洋音楽も演奏される。現在では電子大正琴も製造されている。