むかしむかし あるむらに ぐつと いうなの おとこのこが いました。
ぐつの むらでは あんまり おこめが とれないので おこめの ごはんは ほとんど たべられません。
あるひ おばあさんが めずらしく おこめの ごはんを かまどで たきながら ぐつに いいました。
「ばあちゃん ちょっくら ようたしに いってくるで ぐつは かまどの ばんを してろな」
「うん いいよ」
「すこし するとな おかまが にえたって ぐつぐつと いうだ。 そしたら ぐつ おまえが よばれたと おもって ふたを ずらしとくれ。 そうすれば ごはんの できあがりだ」
「うん わかった」
ぐつが ばんをしてると おばあさんが いうように おかまが ぐつぐつと よびました。
「はーい おかまどん」
ぐつは いわれたとおり おかまのふたを すこし ずらしました。
ところが おかまは まだ にえたって ぐつぐつと いうのです。
「はーい はーい」
なんど へんじを しても まだ ぐつぐつ ぐつぐつと いうのです。
とうとう ぐつは おこってしまって
「このおかま おらが へんじしてるのが きこえねえのか!」
と いうと ふたを けとばして たきぎや いしころを なげこみました。
やっと ぐつぐつ いわなく なったので ぐつが あんしん していたら おばあさんが もどってきて
「なんてことを してくれたんだ。 これでは ごはんが たべられねえで ねえか」
と おこられて しまったと いうことです。