現代は、私が大学生のころは経験した時代風潮からみると、イデオロギー(注)の対立が激しく、ゆっくりと学問することができないような、あるいはさせておかないような社会問題がつぎからつぎへと起こっています。ですから、へやの中で落ち着いて勉強するよりも、生の社会問題に対する実践的な行動に出るほうをよしとする考え方が、たわしの大学生時代よりも強いにちがいありません。
しかし、あなたがたはそういうことをもふくめて、じっくり考えるべきではないか。つまりそうした時代であるがゆえに、むしろいろいろな予備知識をできるだけに身につけて、そのうえで納得のいく実践に移るべきではないか。最初から実践に飛び込むのはたいへん勇ましいようだが、じっさいには身につかない危険をおかしているのではないか。わしたはそういうふうに思っているのです。
(注)イデオロギー:観念体系、思想体系
流離(さすらい):流浪、漂白
「問い」「このこと」とはどんなことか。
1 いろいろなものに触れ、自分に合ったものを見つけようとすること
2 多くの作品の中から、興味のある小説や詩を探すこと
3 さまざまなことを経験し、必死になって自分の力を高めようとすること
4 各地を歩き回る旅をしながら、精神的に豊かになろうとすること
「問い」現代の大学生が置かれている状況はどのような状況だと述べているか
1 勉強以外のことが忙しておちついて勉強できない状況
2 さまざまな社会問題が起きてゆっくりと考えることができない状況
3 勉強して社会や政治に対する意見を持つことが求められる状況
4 社会で勉強したことより身につけた知識が重視される状況
「問い」筆者が大学生に最も望んでいることは何か
1 社会問題に対して積極的に行動してほしい
2 自分の専門にかんする書物(しょもつ)を多く読んでほしい
3 多くの知識を身につけ自分でよく考えてほしい
4 危険があっても勇ましく実社会に飛び込んでほしい
一級短文読解(47)
日期:2016-09-11 09:11 点击:303
(前略)大学にはいったら、小説や詩を読んだり、美術や美術書に親しんだり、哲学の本に頭を突っ込んだりというふうに、あっちこっちを歩き回ってみる。それは、一種の精神的遍歴ですが、しかし決して漫然としたさすらいではありません。ほんとうは必死な気持ちで、自分の力と自分の性格にぴったりした何かを探す。このことがたいせつではないか、ということです。
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