その一つ一つの言葉が言葉として人間社会に存在するには、その手順がある。人間が自然界の存在物や、自然界で働く作用や、あるいは人間の動作、ものごとの性質とか状態などを一つの対象としてとらえて、それを社会的な話題としようと思う。そのとき、人はそれに名前を与える。名前が与えられて初めてそれは社会的な対象となる。その生まれた名前、つまり言葉が、もし社会で真に必要な言葉であるならば、それはその社会に一つの位置を占め、存在権を得る。その社会の人々はその言葉を知り、理解しなければならなくなる。
たとえば、春、夏、秋、冬という四季を表す言葉は、世界各国にあると思われるかもしれない。しかし、それは日本のような四季んお変化が明らかな国のことである。大陸の北部で春、夏の区別がほとんどないようなところに住む種族の言語には、春と夏とを分ける言葉がないという。また、馬と深い関係がある生活を営む社会では、一歳の馬、二歳の馬、三歳の馬、妊娠したことのない馬、妊娠出産したことのある馬、その他、実に多くの馬が、それぞれ別の言葉で表現される。それはその社会の生活に、馬をそのように扱うからである。このように、その社会で必要があるときには言葉は豊富さを加え、その社会に特定の物や観念が欠けていれば、それを指す言葉はない。(後略)
「問い」「それはその社会」とあるが、「その社会」とは何を指すか。
1 言葉を用いる人間社会
2 その言葉を必要とする社会
3 その対象に名前を与える社会
4 民族の歴史を語り伝える社会
「問い」この文章を通じて人間そのものは最も離れないものはどれか。
1 言語をもつ
2 言葉をつくる
3 人間社会に存在する
4 言葉に対しての理解
「問い」なぜ「一歳の馬、二歳の馬。。。」それぞれ別の言葉で表現されるか。
1 馬と深い関係があるから
2 それはその社会の規定があるから
3 馬をそう区別して扱う必要があるから
4 馬が多いから
一級短文読解(50)
日期:2016-09-11 09:13 点击:359
民族の歴史を語り伝えるにも、男女が愛をささやくにも、四季の移りゆきを見て嘆きを歌うにも、人は言語を用いる。永遠の真理を記し、未来の世界を想像するにも言語に頼る。人は言語を持つことによって人間となった。
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