A
税制と社会保障の一体改革、それに自由貿易を進める環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加。これの二つを進められるかどうか。日本の運命はその点にかかっている。財政は崖っぷりに立っている。赤字を食い止めながら、社会保障の財源をつくり、制度を組み替える。つらい話ではあるが、早く取りかかるほど改革の痛みは少なくてすむ、一方の自由貿易の強化は、貿易立国で生きる日本にとって要である、農政を転換し、輸出もできる強い農業をめざすべきだ。菅首相は野党との協議を求めるならば、たとえば公約を白紙に戻し、予算案も大幅に組み替える。そうした大胆な妥協へ踏み出すことが、与野党ともに必要だ。日本の輸出力はまだまだ強い。技術もブランド力も評価が高い。経済が停滞していても社会は安定を保ち、豊かな自然に恵まれたいる。政治が課題の解決へ動き出せば、前途に立ちふさがる霧も晴れてくるにちがいない。
B
経済が拡大せずに公的財務が膨らめば、遠からず国は破綻の危機を迎えるとして本格的な高齢化を2~3年後に控えて、これから1~2年は日本再生への最後の機会と警鐘を鳴らす。アジア諸国に追われてはいるが、日本は技術に強い工業国。各国と競いながら腕を磨けば成長の余地はある。それを怠ければ国の財政破綻などを通じ今の豊かさはやがて消える。過信もあきらめも捨てて、自らを鍛える志こそが大事ではないかと考えている。経済開国と国内の改革を提唱。環太平洋経済連携協定(TPP)への参加を中心とする貿易の自由化を急ぐ一方で、生産効率を高め競争力を強める農業改革を訴える。さらに、政治家と共に日本再生のもう一方の主役である企業経営者の保守的な経営が働き手の潜在力を殺してはいないか。政治家と経営者は、日本経済のこの大転換期に極めて重大な責任を負っていることを自覚してほしい。
「問い」AとBの意見が一致しているのはどれか
1 改革しなければ、日本社会は将来、危機を迎える。
2 日本経済が安定しているため、日本の競争力はアジアの国々に遅れている。
3 自由貿易を進める環太平洋パートナーシップ協定(TPP)への参加は日本にとって一番大事なことである。
4 菅首相の与党への妥協は政治の難問を解決する鍵となる。
「問い」AとBどちらでも触れなかった内容はどれか。
1 輸出もできる強い農業をめざす改革は貿易立国の日本の運命にかかっている。
2 日本は技術に強い工業国であるため、アジア諸国に追われているが、心配する必要はない。
3 日本政治もいろいろ難問がるため、政治改革を推し進める必要がある。
4 日本の政治家も企業経営者も日本発展の潜在力を殺している。
「問い」AとBの説明として、正しいのはどれか。
1 Aの筆者は社会保障の改革が遅れても済むと考えている。
2 Aの筆者は高齢化は日本に危機をもたらすと話している。
3 Bの筆者は今の日本にとって改革が一番大事だと考えている。
4 Bの筆者は日本の政治家は経営者よりも重大な責任を負っていると考えている。