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ウサギの目が赤いわけ
日期:2016-11-29 09:23  点击:264
 むかしむかし、ウサギには、とても立派な角がありました。 
 ウサギはこの角が自慢で、外へ出かける時はいつも角を頭の上に乗せていました。
「えへん。どうだい、この角は。きみたちには、こんな立派な角はないだろう」 
 ウサギは他の動物に会うと、いつも大いばりです。
 ある日の事、いつもの様にウサギが頭に角を乗せて歩いていると、反対側からシカがやってきました。 
 その頃のシカには、まだ角がなかったのです。 
 ウサギはさっそく、シカに自慢をしました。 
「シカくん、きみはぼくよりも体が大きいが、こんな立派な角はないだろう」 
「・・・・・・」 
 いくら自慢をされても、角のないシカには言い返す事が出来ません。 
(いいなあ。ぼくにも、あんな立派な角があったらなあ) 
 シカは、ウサギがうらやましくなりました。 
 そこでシカは、ウサギに言いました。 
「ほんとうに、立派な角だね。すごいよ。・・・ねえ、ちょっとだけ、ちょっとだけでいいから、貸しておくれよ」 
 そう言われると、ウサギはうれしくなりました。 
「うーん。大事な角だが、そこまで言うのなら、ちょっとぐらいなら貸してやってもいいかな。はい」 
 ウサギが頭の角を外してシカに貸してやると、シカはウサギの角をしげしげとながめました。 
(いいなあ、いいなあ、ほしいなあ~) 
 見れば見るほど立派な角なので、シカは角がほしくてほしくてがまんできません。
 そこでシカは、ウサギに言いました。 
「ああ、なんて素敵な角だろう。ねえ、お願いだから、ぼくにもちょっとかぶらせてくれないか。ほんのちょっと、ちょっとだけでいいんだ」 
 シカがあんまりうらやましそうに言うので、ウサギはますますうれしくなりました。 
「うーん。大事な角だが、ちょっとだけなら、かぶらせてやってもいいかな」 
 ウサギは角を、シカの頭にかぶらせてやりました。 
「どうだい、気分は?」 
「うん、いいよ、いいよ! まるで、王さまになった気分だ!」 
 シカはうれしそうに首をふって、川のふちへ行きました。 
 そして川にうつる自分の姿を見て、シカはうっとりです。 
「ウサギさん、どうだい。ぼくにも角が、似合うとは思わないかい?」 
「まあまあだね。だけど、ぼくほどは似合わないよ」 
「いいや、この角は、ぼくにぴったりなんだ!」 
 シカはそう言うと、いきなり川へ飛び込みました。 
「あっ、こら!」 
 びっくりしたウサギはシカに文句を言いましたが、シカは向こう岸へ上がると、あかんべぇーをしながら言いました。 
「やーい、返して欲しければ、ここまでおいで」 
「なっ、なんだとー!」 
 でもウサギは泳げないので、向こう岸へ渡る事が出来ません。 
「こら、返せ! 返さないと、ひどいぞ!」 
 ウサギは大声で言いましたが、シカはそのまま山の中へと逃げてしまいました。 
「あーん、ぼくの角、ぼくの角が・・・」 
 それからというもの、ウサギは泣きながら毎日シカを探して回りました。 
 でもどうしても、あのシカを見つける事は出来ませんでした。
「あーん、ぼくの角、ぼくの角・・・」 
 ウサギはあんまり泣きすぎたので、目がまっ赤になってしまったという事です。
 

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11/29 11:39