むかしむかしの、ある冬の事です。
森には木の実がなくなってしまい、サルはお腹がペコペコでした。
ところが川に住むカワウソは、毎日おいしそうな魚をお腹一杯食べています。
そこでサルは、カワウソに聞きました。
「カワウソくん。どうしたら、そんなに魚が捕れるんだい?」
するとカワウソは、こう言いました。
「そんなの簡単さ。
川の氷に穴を開けて、尻尾を入れるだろう。
それから動かずに、じっと待つんだ。
すると魚が、尻尾をえさと間違えて食らいつく。
それをぐいっと、釣り上げるんだ」
「へぇー。ぼくもやってみよう」
サルはさっそく川へ出かけると、カチカチにこおった氷に穴を開けて尻尾をたらしました。
「うひゃあー、冷たーい!」
尻尾がとっても冷たかったけれど、サルは動かずにじっとがまんをしました。
「待つんだ、待つんだ。もうすぐ、魚が食べられるぞー」
しかし魚は、なかなか尻尾に食いつきません。
そのうちサルは、ウトウトといねむりをしてしまいました。
サルがふと気がつくと尻尾がこおりついてしまい、少しも動かす事が出来ません。
しかしサルは、それを大きな魚が釣れたと勘違いをして、大喜びで尻尾を引っ張りました。
「うーん、重たいな。こいつは、よほど大きな魚に違いないぞ」
サルは顔を真っ赤にして、力まかせに尻尾を引っ張りました。
「うーん、うーん、うーん」
そして・・・。
ブチン!!
あまりにも尻尾を力一杯引っ張った為に、サルの尻尾は途中でちぎれてしまいました。
サルの顔が赤くて尻尾が短いのは、こういうわけだそうです。