尚、それでは電車の駅はなんというかというと、「火車站」と書いて「ホーチョージャン」である。「電車」が、中国では「火車」すなわち「ホーチョー」なのだ。これでは、初めてのおつかいでママに「えみちゃん、商店街にいって包丁を買ってくるのよ?」と頼まれて出かけたえみちゃん(4歳)が、電車を1輌担いで帰って来るというややこしいことにもなりかねない。それくらいならまだいいが、逆に急いで電車に乗らなきゃいけない時に「えみちゃん! 急いで! 火車に飛び乗りなさい!!」とママが叫んだら、えみちゃんはすかさず上を向いた包丁の刃の上に飛び乗っておぼこい両足が土踏まずのあたりからキレイにスッパーン(以下自粛)
汽車站(バスターミナル)で石林行きのバスを探すが、なかなか見つからない。切符売り場の人に「石林」と書いた工作手帳を提示してみると何やら早口で「ニーシーチューチーチョー!!」と教えてくれるのだが、ひとっこともわからない。まだ年末年始の泰葉の言動の方が理解出来るレベルである。あなたもしかして、単なる意地悪で「チューチョーチーチョー!」と意味のない言葉を適当に叫んでいるんじゃあるまいなっ!?
う~ん困った。しょうがないから、別の人に聞いてみるか……オロオロ……
「あのすみませんそこゆくお人。僕は石林に行きたいんですがバスは……おろおろ……」
「ニーシーチューチーチョーニーシーチューチーチョー!!!」
「おあっ(涙)!! すみません(号泣)!!!」
じゃ、じゃあ向こうにいる掃除のおばちゃんに……おろおろ……
「あのすみませんおばちゃま。石林にはどのバスで行ったらよいのでせうか……おろおろ……」
「ニーシーチューチーチョーニーシーチューチーチョー!!!」
「いやああっ(涙)!! ごめんなさい(号泣)!!!」
売店の人のよさそうなおじさんに……おろおろ……
「お尋ねします~(涙)。バスで石林まで行きたいんです~~行きたくてたまらないんです~~(号泣)」
「ニーシーチューチーチョーニーシーチューチーチョー!!!」
「ひひひひっ(涙)!! そんなに怒らないでお願いっっ(号泣)!!!」
あっ、バスターミナルなのになぜか野良犬が入って来ている。野良犬が寂しげにウロチョロしている。
「ノラ犬さん。僕は石林にバスで行きたいんですが、バスが見つからないんです(涙)。人に聞いても何を言っているのかわからなくて、辛いんです(号泣)」
「クウ~~ン(涙)」
「辛いよね(泣)。同じだよね(涙)。キミも中国語が理解出来ないんでしょう(号泣)??」
「キャイ~~ン(涙)」
「なんだって! 対話が成り立たないだけじゃなく、犬料理にして食べられるんだって(涙)? それはなんて辛いんだ……(号泣)。わかるよ。辛いよね(涙)。一緒に泣こうよ」
「ワオ~~~ン(号泣)!!」
「うお~~~~ん(号泣)!!!」