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丽江篇 06
日期:2016-12-16 19:38  点击:318
村の入り口の木の脇に自転車を立てかけ、中央の道を歩いて一本細い川を越えると、いきなりドクターの診療所を発見した。なにしろ家の前にドクターの記事が掲載された新聞や雑誌の切り抜き、顔写真、さくらももこさん直筆のちびまるこちゃんの絵が派手に飾られており、それとは別に日本語と英語で「麗江(リージャン)の神医!超有名なドクターだ!尊敬すべき男だ!」などと手書きの宣伝文句が書かれている。診療所というより、完全に自ら観光地にしようとしている気配が。
 
しかし、開いている木戸から中を覗くとだーれもいない。病気の人たちで賑わっているかと思ったのに。待ち時間に読もうと思って吉川英治の三国志を持ってきたのに。
 
あっ、誰か来た。
 
「わしがドクターじゃよ。よく来たなジャパニーズ。入りなさい入りなさい」
 
「ハロードクター。やはりわかりましたか日本人だと。このしょうゆ顔を見て」
 
「いろんなものを見せてあげるから。こっちに来なさい」
 
「それではお言葉に甘えましておじゃましまーす」
 
奥の部屋から出て来た、白衣を着て白いヒゲをたくわえたよぼよぼのおじいさん。彼こそが英語ペラペラで大変助かる噂の神医、スーパードクターであった。
 
いきなり部屋を通り抜けて裏庭に連れて行かれると、そこでドクターはガラスケースからたくさんの紙の束、そしてノートを取り出しオレの前に並べた。
 
「ほら、お茶を飲みなさい。お茶を飲みながら、これらをよく読みなさい」
 
「おもてなし有難うございます。お茶いただきます。これら読ませていただきます」
 
その紙々はいったい何かと思ったら、日本語で書かれたドクターの記事、そして大企業から中小企業そして弁護士から教授まで、代表取締役社長やら専務やら常務やら立派な肩書の人々の名刺。さらにここを訪れた日本人が書いた、インドのインチキリキシャドライバーなどがよく持っている日本語の推薦文、「ドクター最高!」「彼はとてもいい人です!」などが書かれた推薦コメント用ノートであった。

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