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四川篇 12
日期:2016-12-16 19:53  点击:392
 さて、翌日。
 
 洋式便器のある方のホテルのロビーに集合し、作戦を練ることになったのだが、いかんせん言葉の壁が厚くオレはただ黙ってちょこんと座っているだけだった。なんでオレ、いつの間にかこのグループに加入しているんだろう。こんな平和主義者なのに。もしかしてオレのこの辮髪(べんぱつ)がユダヤ教徒がよくやってる三つ編みにそっくりだから、ユダヤ教の仲間として受け入れられているのだろうか?
 
 そうしているうちに徐々に仲間外れになり始めたので少し外に散歩に出てみると、道端でバックパックを背負った中国人の女の子2人組を発見した。これはチャ~ンス!!
 
「ニーハオお嬢さん! 僕は中国でも大人気の、おなじみ若い日本男児です。旅行中ですか? もしかして理塘に行くのですか? パチクリ! ピチクリ(ウィンク)!!」 ←カタコト&筆談
 
「ニーハオ! メロメロメロ~~~ッ  そうなんだけど、石が落ちてきて、道がないのよ。だからもう香格里拉に戻るしかなくて」
 
「モレモレモレ~~ッ!! やっぱり。でも戻ると言っても戻るバスも無いんでしょ? メイヨーチーチョー(没有汽車)でしょ?」
 
「チーチョーメイヨー。ねえ、よかったらタクシーをシェアして香格里拉まで行かない? もちろん交渉は全部私たちがやるわよ」
 
「なんと!!!! メロメロメロ~~~ッ !! それはなんて素敵な提案なのでしょう!! 共に行きましょう! 僕は一人旅です。ちょっと荷物を取って来ますから待ってて下さい!」
 
 中国人小姐2人組は年の頃ならおそらく20代前半、茶髪のメッシュにサングラスなんかかけちゃって都会派でこの郷城の田舎では確実に浮いている。中国でも都市部に住んでいる女性は情報が多いため、やはりオシャレになるらしい。あらゆる面での国内格差が激しい国だ。
 
 オレはほふく前進で洋式便器ホテルのロビーに戻り、ソファーの陰に隠れながら自分の荷物をキャッチし、またじりじりと這いつくばりながら出口へ向かった。
 
「あれ? 何やってるんだ作者? 荷物持ってどこ行くの」
 
「ズガーーーーーン!!!! あわわわ……。ち、違うんです。決して意地悪してタクシーのシェアの話を黙っているなんていうわけではないんです。だって、あと3人も増えたらタクシーに乗り切らないんですからっ!!! 僕はただ規定乗車人数を守ろうとしているだけなんです!!! 法律は守らなきゃいけないんですっっ!!! だから友情は大切だけれど涙を飲んで心に鬼を棲まわせて僕一人だけで行こうとしているです(涙)!!! 悪法も法なりなんですっ(号泣)!!!」
 
 …………。

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