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お月さまのお使い
日期:2016-12-17 09:04  点击:358
 むかしむかし、ある山の上で、ウサギの兄弟が歌を歌いながら餅をついていました。 
 
♪ウサギのもちつき ぺったんこ 
♪ぺたぺたぺたぺた ぺったんこ 
♪おいしいもちが つけたなら 
♪お月さまに あげたいな 
 するとそれを聞いたサルが、よだれをこぼしながら考えました。 
(なんて、うまそうな餅だろう。どうにかして、あの餅を手に入れる方法はないかな?) 
 そこでサルは、偉そうに胸を張ってウサギたちの前に出て行き、 
「これ、そこのウサギたち。
 わたしは、お月さまのお使いじゃ。
 さっき、そのお餅をお月さまにあげたいと申しておったが、わたしがそのお餅をお月さまに届けてやろう」 
と、言いました。 
 するとウサギの兄弟は、 
「そいつは、ありがたい」 
「ぜひ、お月さまに届けてください」 
と、大喜びで一生懸命に餅をつきました。 
 ところがあんまりつきすぎたため、餅がうすにくっついてしまい、どうやっても離れないのです。 
 それを見て、サルが言いました。 
「早くしないと、お月さまに届けてやらないぞ」 
「はい。ただいま」 
 ウサギの兄弟はあわててうすから餅を引っ張り出そうとしますが、餅はなかなか離れません。 
 イライラしたサルは、ウサギの兄弟に言いました。 
「ええい、仕方がない。
 それではうすごと、お月さまにお餅を届けてやろう。
 背負うから、それをわたしの背中に乗せてくれ」 
「はい」 
「それでは」 
 ウサギの兄弟がサルの背中にうすを乗せると、サルはとたんに走り出して、赤い舌をペロリと出しながら言いました。 
「えっへへ、うまくいったぞ。
 ばかなウサギめ、こんな所にお月さまの使いがいるはずないのに。
 さあ、あとでゆっくり食べよ」 
 サルは小声で言ったのですが、ウサギは耳が大きいので、その小声が聞こえたのです。 
「なんだって! よくもだましたな!」 
「こら、待てえ! このうそつきザルめ!」 
 怒ったウサギの兄弟は、サルを追いかけました。 
「ふん、だれが待つもんか!」 
 サルは重いうすを担いで、必死に走っていきました。 
 でも、ウサギは足が早い動物なので、やがてサルに追いついて言いました。 
「サルさん、サルさん。
そ んなに走ったら転んでしまい、せっかくのお餅が泥だらけになってしまうよ」 
「そうだよ。
 もう怒っていないから、走るのをやめなよ。
 お餅を、半分こにしてあげるからさ」 
「えっ? 本当に、半分くれるのかい?」 
「ああ、やるとも」 
「約束するよ」 
 それを聞いてサルはほっとして、足を止めてうすを地面に降ろしました。 
 そのとたん、ウサギの兄弟はサルのお尻を思いっきり蹴飛ばしました。 
「このうそつきザルめ!」 
「だれがお前なんかに、お餅をあげるものか!」 
 するとサルは山道をコロコロ転がっていき、お尻をすりむいて、お尻がまっ赤になっていしまったのです。
 
 それからです、サルのお尻が赤くなったのは。

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