むかしむかし、スズメのお母さんが重い病気になって、今にも死にそうだという知らせがありました。
「そりゃ、大変だ!」
親孝行なスズメの息子は、普段着のまま大あわてでお母さんのところへかけつけました。
仕事の途中で来たので、顔はドロだらけです。
でも、元気な息子の顔を見たお母さんは、
「ありがとう。よく来てくれたね」
と、とても喜び、死にそうだった病気まで治ったのです。
この事を知った神さまは、とても感心して
「これからは虫の他にも、人間と同じ様にお米を食べるがよい」
と、お米を食べる事を許してくれたのです。
そして人間の住んでいる近くでも、暮らせる様にしてくれました。
さて今度は、キツツキのお母さんが重い病気になり、今にも死にそうだという知らせがありました。
でも、親不孝なキツツキの娘は、
(ふーん、そうなの。
でもまあ、まだ死んだわけではないから、あわてなくても大丈夫ね。
それよりも、きっと近所の鳥たちもお見舞いに来ているから、わたしのきれいなところを見せなくちゃ)
キツツキの娘は、いつもよりもていねいにおけしょうをすると、一番上等な着物を着て出かけました。
でも気の毒な事に、お母さんは娘が来るのが待ち切れずに死んでしまいました。
さて、それを知った神さまは、カンカンに怒りました。
「母親よりも自分が大事とは、なんとひどい娘だ!」
そして神さまは罰として、キツツキに木の中の虫しか食べられないようにしたのです。
そう言うわけで、スズメは今でも自由にどこへでも飛んで行けるし、おいしいお米を食べる事も出来ます。
しかしキツツキは山の中から出られず、木に穴を開けなければ虫を食べる事が出来ないのです。